研究課題/領域番号 |
23659737
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
釈永 清志 富山大学, 大学病院, 准教授 (40187498)
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キーワード | 遠隔虚血プレコンディショニング / 可溶性フィブリンモノマー複合体 / NF-κB 活性 / サイトカイン / 凝固活性動態 / 抗炎症効果 |
研究概要 |
本研究の目的は、遠隔虚血プレコンディショニング (remote ischemic preconditioning; RIPC) を実際に臨床応用し、その凝固活性動態に対する影響、及び抗炎症性効果を種々の生化学的マーカーや臨床的指標から評価し、その有効性の有無を明らかにすることである。RIPCは具体的には予定の整形外科手術(人工膝関節置換術)において、麻酔導入後執刀前に上肢をマンシェットにより5分間虚血―5分間再灌流を4 サイクル施行することにより実施する。当該研究ではまず、人工膝関節置換術におけるRIPCの抗炎症効果及び凝固活性動態を明らかにし、RIPCの有用性について評価する。 本研究は臨床研究であり、研究計画は倫理委員会の審査を受け承認を得る必要がある。倫理委員会による承認が平成23年10月18日と大幅に遅れてしまったこと、更に予定していた手術整形外科手術の担当術者の海外渡航等が重なり、対象の予定手術が本院において激減してしまったことにより、実際の臨床研究開始が平成24年2月にずれこんでしまった。平成25年3月時点でようやく37例の症例で検体が得られたところである。当初の目標症例数を60例としており、ようやく半分を超えたところである。サイトカインやNF-κB 活性等の生化学マーカーについては検体をすべて凍結保存してある。しかしながら、測定には96穴プレート測定キットを使用するため、キットが無駄にならないように検体がある程度集まってから効率的集約的に測定する必要がある。したがって、現時点ではまだRIPCの有効性を判定できるだけの結果および研究成果は得られていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は臨床研究であり、研究計画は倫理委員会の審査を受け承認を得る必要がある。倫理委員会による承認が平成23年10月18日と大幅に遅れてしまったこと、更に予定していた手術整形外科手術の担当術者の海外渡航等が重なり、対象の予定手術が本院において激減してしまったことにより、実際の臨床研究開始が平成24年2月にずれこんでしまった。更に平成25年2月から始まった手術部の改築改修工事等の影響も有り,平成25年3月末時点でようやく37例の症例で検体が得られたところである。その意味で対象症例の検体の蓄積が当初の予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年6月末には手術部の改修工事が一部終了し、新しいクリーンルームの使用が可能になるため、対象予定手術件数の増加が見込める。8月末までには50例を超える症例で確実に検体が収集できると予想されるので、同時期までに生化学的マーカーの測定及びデーター解析を同時進行で行い、遠隔虚血プレコンディショニング の有効性の有無について評価する。ELIZAによる測定は症例数が50例を超えたところで、一区切りとし、集中的かつ効率的に実施する。こうすることで、これまでの遅れは確実に取り戻せる。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の研究費に繰越金が生じた理由 本研究では各種サイトカイン等の生化学的マーカーの測定に要する費用が必要経費のほとんどを占める予定である。ELIZA法を用いて行うが、そのためには各種マーカーのELIZA測定用キットが必要になる。測定キットは1キットあたり項目により約6~10万円と高額であり、なるべく検体数がそろってから、同一日に集約的に効率的に測定した方が、検体の解凍凍結を繰り返す必要がなく、キットのロット番号もそろえることが可能になり、より正確なデータが得られる。しかし、残念なことに年度内には予定の症例数に到達できなかった。また、測定キットを早期に購入すると期限切れになるリスクがあったので、あえて購入を控えてきた。 次年度の研究費使用計画 次年度は8月末までには検討症例数が確実に50例を超える予定である。1症例あたり4タイムポイントの血液検体が出るので、1測定項目あたり50例で200検体集まる。測定キットは96穴プレートからなり、一般的に標準液に16穴、測定検体用に80穴利用できる。したがってダブルで測定する場合1キットあたり最大40検体分測定可能になる。1測定項目あたり200検体で計5キット必要になるので、8月を目処に5項目分の測定で計25キットの購入(150万円以上)を予定している。
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