駆血帯を使用する全人工膝関節置換術(TKA)において、上肢による遠隔虚血プレコンディショニング ( remote ischemic preconditioning: RIPC )の凝固活性動態および炎症反応動態について前向きに評価検討した. RIPCは駆血帯開放20分後に可溶性フィブリンモノマー複合体を有意に低下させ、少なくとも短期的には術直後の血栓形成に対して抑制的効果を持つことが示唆された.また、RIPCはNFκ-B活性の有意な抑制とIL-6の有意な産生低下、抗炎症性サイトカインIL-10の有意な産生増加をきたし、炎症反応を抑制する方向に調節することが示唆された.
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