研究課題/領域番号 |
23659739
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
森田 耕司 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (30115513)
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研究分担者 |
佐野 秀樹 浜松医科大学, 医学部, 助教 (00377748)
白石 義人 浜松医科大学, 医学部附属病院, 准教授 (00135253)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | RR間隔変動量 / 動脈血圧脈圧変動量 / プレティスモグラム脈波変動量 / 輸液応答性 |
研究概要 |
1:計測システムの構築:患者モニタ(Philips MP50)よりMIB出力されるシリアル信号よりバイタルサイン(心拍数、動脈圧(収縮期、拡張期、平均)、中心静脈圧、体温、酸素飽和度、終末呼気二酸化炭素濃度値ならびにリアルタイム心電図(250 samples/sec)、動脈圧波形、プレティスモ波形、吸呼気二酸化炭素濃度波形、脳波(それぞれ125samples/sec))を収集し、マイクロソフトエクセルにて読み出せるCSV形式にて記録した。2:解析ソフトウエアの構築:エクセルに読み込まれた測定データはマクロ言語によるプログラムにより解析された。心電図はノイズ除去効率とR波抽出効率アップのため、波形の形状的特徴によりMフィルタまたはEフィルタを使い分けた。動脈圧波形、プレティスモ波形の最大・最小抽出には、呼吸性の変動を避けるため解析ポイント近傍における平均を求め平均値の0.875倍(閾値)を超えた場合から最大値を求め収縮期圧とし、最大値を検出後かつ閾値より低くかつ最小値を拡張期圧とした。脈圧は最大値と最小値の差とした。RR間隔、脈圧の呼吸による変動値の分散を変動量とした。3:動物実験:豚(20~30Kg)にて循環血液量と上記RR間隔、脈圧の変動量を求めた。イソフルラン(iso)5%にて麻酔導入しiso2%、TV:450ml, RR:14,PaCO2<40mmHg以下にて麻酔の維持を行った。導入後循環が落ち着いた時点のバイタルサインをコントロールとし10, 20, 30, 40%脱血、20, 40%返血、20, 40%代用膠質輸液それぞれを行った時点のバイタルサイン(波形を含む)を比較した。3頭の豚によるパイロット実験では、傾向として血圧脈圧>RR>プレティスモであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計測システムの構築と解析手法の確立を23年度の主要目標としていたが、計測システムならびに解析ソフトウエアの完了を持って主要な目標に到達した。ただし、動物実験を実施しその妥当性の検証結果のフィードバックにより修正や追加の作業が有り得ると考えており、動物実験によるデータ収集と解析を進める予定である。また、動物実験にの症例数を増やし、統計的な有意差検定を進めたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24、25年度:輸液依存性(輸液が必要か否かの基準値)の検討として、RR間隔の変動量が使用でき、またその感度、特異度は従来の他の指標、血圧脈波(収縮期と拡張期の差圧)、プレティスモグラムの脈波、一回拍出変動量と同等かまたはより秀でるとの仮定を検証することが目的であり、そのためには循環血液量過少、過多におけるそれら各指標の呼吸による変動を測定する必要がある。このため、豚の脱血・返血モデルにおける各指標の解析が重要である。また、RR間隔は、麻酔薬に応じて変動することが判明しており、輸液応答性に麻酔深度(麻酔薬濃度)が干渉を起こすことが想定されるため、動物実験の後半では、脱血・返血とともに麻酔薬濃度を変動させ各指標値にどのような影響を及ぼすかを検証する。統計的検証にはROC(receiver operating curve)による感度、特異性解析をおこなう。一連の動物実験完了後、動物実験により得た知見の検証として、本学臨床試験倫理規定に遵守した手法に基づき、実際の手術症例(出血が見込まれる)を対象として検証を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費:実験用の豚(12頭予定)、実験器具、消耗品の購入費とする。旅費:本課題に関連する学会参加、学会発表の旅費とする。その他:雑誌文献コピーや論文投稿準備(英文校正)、別冊取得費として使用する。
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