研究概要 |
豚6頭(20Kg~20Kg, イソフルラン2%, FiO2=0.6, TV=450, R=15回/min)において、全血液量の10,20,30,40%脱血ならびに10,20,30,40%返血、加えて代用血漿剤(HES)20,40%輸液時それぞれにおいて、心電図、大腿動脈圧波形、耳朶部のプレティスモグラムを測定した。ECG波形のR波振幅、RR間隔、動脈圧およびプレティスモグラム波形のパルス幅値、脈派周期を一拍ごとに測定した。各脱血、返血、HES投与時の安定期3分間を抽出し、分散を求め比較した。 R波振幅、RR間隔は循環血液量減少に従い分散が減少したが、RR間隔の分散は30%脱血時を最小として40%脱血時には増加した。返血による循環血液量増加における変動では、R波振幅の分散は急速に増加したが、返血量20%をピークに下降した。一方RR間隔は返血量が増加しても増加せずHES輸液時に急速に増加した。大腿動脈圧のパルス振幅の分散は、循環血液量の減少に伴い増加し最大脱血時にピークをみたが、返血の増加に伴い減少した。脈波周期の分散は脱血の増加に伴う変動はなく、返血の増加に伴い顕著に増加した。プレティスモグラムのパルス振幅の分散、脈波周期の分散は、それぞれ脱血量の増加に伴い増加し返血量の増加に伴い減少した。 RR間隔の変動量(DeltaR/DelatBP)は脱血量10%、40%にて一時的なピークを示した。輸液応答性(定量の輸液にて最大の循環動態指標を改善できる出血量)として両者が候補と考えられるが、対象データとなるプレティスモグラムの脈波振幅の変動量が脱血10%より急激に増加することより、現段階では10%脱血時であると推定される。
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