研究課題/領域番号 |
23659742
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
角山 正博 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30273444)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | モルヒネ / 耐性 / マイクログリア / toll-like receptor |
研究概要 |
モルヒネを代表とするオピオイド鎮痛薬は、鎮痛作用が強いために癌性疼痛の緩和などの目的で広く用いられているが、長期投与により耐性が生じることが大きな欠点である。耐性の成立機構に脊髄マイクログリアの活性化が関与するとされているが、その詳細は不明である。本研究では、モルヒネ耐性におけるマイクログリアの関与に関して検討を行った。マウスにモルヒネを5日間投与し続けると、鎮痛作用は20%程度まで低下するが、マイクログリアの活性化を抑制するミノサイクリンを併用すると、鎮痛作用は60%程度にしか低下せず、モルヒネ耐性成立にマイクログリア活性化が関与することが確認された。また、モルヒネ投与によりマイクログリア活性化の指標である脊髄CD11bの発現が増加することがRT-PCRにより明らかになった。モルヒネによるマイクログリア活性化にtoll-like receptor 4(TLR4)が関与するという仮説を検証するため、TLR4ノックアウトマウスおよびTLR4に変異を有するC3H/HeJマウスについて、モルヒネ耐性を検証した。ノックアウトマウス、変異マウスとものいずれにおいても、野生型マウスと同様のモルヒネ耐性が成立し、モルヒネによるマイクログリア活性化にはTLR4は関与しないことが示唆された。以上の結果は、モルヒネ耐性の成立にはマイクログリア活性化が関与するが、モルヒネによるマイクログリア活性化にはTLR4以外の機序が関与することを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
周術期使用薬の中で重要な位置を占めているオピオイド鎮痛薬について、その作用および耐性成立におけるtoll-like receptor(TLR4)の役割について、ノックアウトマウスを用いて検討した。TLR4活性化によりマイクログリアが活性化されてモルヒネ耐性を生じるという仮説は否定されたが、モルヒネ耐性の機序解明に重要な知見が得られたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
モルヒネ耐性においてマイクログリア活性化が重要な役割を果たすことが明らかになったので、モルヒネがTLR4以外の機序を介してマイクログリアを活性化する可能性について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主にマウス購入、試薬購入に研究費を使用する予定である。
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