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2011 年度 実施状況報告書

ソニフィケーション(情報の可聴化技術)を用いた疼痛治療デバイスの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23659743
研究機関大阪大学

研究代表者

中江 文  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (60379170)

研究分担者 池田 尊司  大阪大学, 人間科学研究科, 特任助教 (80552687)
真下 節  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10110785)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード痛み / 国際情報交流(ドイツ) / 可聴化技術
研究概要

本研究の目的は「痛みと音」に着目し、痛みを「音」で把握できるデバイスを作成すると共に、「音」で鎮痛を誘導する機器の開発を目標とする。そのために情報を音に変換する技術(Sonification)を用いる。1.痛みを伴う身体的状況を、様々な生体モニターから取り出した情報を音に変換する技術(Sonification)を用いて、治療者のみならず患者にとって痛みに有利な状況を客観的に容易に判断できる機器を開発する。2.痛みをやわらげる音の研究を行い、上記技術と連動させ、音による理学療法の可能性を探る。であった。本年度は痛みを伴う状況把握が可能な生体信号の分析を行い、各種モニターの中から末梢循環の指標であるPerfusion Indexが有用な信号であることを明らかにした。この知見は本年7月の日本疼痛学会で発表予定である。さらに、その信号を音に変換するサンプルサウンドの検討を行った。さらに、情報をリアルタイムに取り出す工夫を行い、現在バイオフィードバックのプログラム作業に着手している。さらに、音による理学療法を念頭に痛みを催す可能性の高い音、鎮痛に結び付けられる可能性の高い音を検討した。検討した結果、それぞれ1種類ずつの音を見出した。これらが本当に鎮痛を誘導できるか否かについて検討するための実験のプレリミナリーな段階まで終了した。本研究については情報の可聴化技術の世界的第一人者であるドイツのビーレフェルド大学、ハーマン博士の助言を得て行われており、3月に来日され、今後のプロトコールの確認作業を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は「痛みと音」に着目し、痛みを「音」で把握できるデバイスを作成すると共に、「音」で鎮痛を誘導する機器の開発を目標とし、そのために情報を音に変換する技術(Sonification)の第一人者っであるハーマン博士の助言を得ながら達成する予定であった。1.痛みを伴う身体的状況を、様々な生体モニターから取り出した情報を音に変換する技術(Sonification)を用いて、治療者のみならず患者にとって痛みに有利な状況を客観的に容易に判断できる機器を開発する。この点について本年度は痛みと様々なモニター機器をの信号の関係を詳細に検討し、痛みを反映する生体信号を把握することができた。その信号の痛みによる変動についてのデータ解析結果を来年度の日本疼痛学会で発表予定である。2.痛みをやわらげる音の研究を行い、上記技術と連動させ、音による理学療法の可能性を探る。この点については、音による鎮痛の誘導に関し、ドイツからハーマン博士を招いて詳細な討論を行うことができた。その結果、快、不快を誘導する音をこれまでの研究成果から導き出し、痛み刺激と音による鎮痛の誘導の関係の新たなプロトコールを立てることができた。そのプログラムのプレリミナリーな検証はすでに検証している。痛みより鋭敏に変動する信号ついて、リアルタイムに取り出し可能となった。現在ハーマン博士がバイオフィードバックのプログラム中である。鎮痛を導く音、痛みに伴う信号の変化を組み合わせ、来年度中に生体信号を察知し鎮痛に導く機器のプロトタイプができるものと考えている。

今後の研究の推進方策

1.バイオフィードバックの検証 ペインクリニック外来に受診した患者のうち催眠療法を行うことを希望した患者でこの研究に同意された方に対し、まず、催眠のかかりやすさに関するスコアリングを行う。(大学院生安達が担当)患者に対し催眠療法を行う。催眠療法による効果判定をVisual Analogue Scale(VAS)を用いて行う。(大学院生安達が担当)催眠療法による効果の出やすい患者、出にくい患者2群に分け、モニターを装着し、自分のデータが音に変換されている状況を聞きながら、催眠状態を誘発する。それぞれに自分の状態を音で把握しその音色が良くなるように自分の状態を保つように指示する。催眠療法単独の効果と、バイオフィードバックを合わせた効果を比較し、その効果についての検討を行う。(中江・大学院生安達が担当)2.音による鎮痛の誘導の可否の検討  痛みを抑制させる音を痛みに不利な状況で鳴らすプログラムを行う。ボランテイアに対し実験的痛みを加え痛みの評価を持続的VASで行い、(1)のプログラムで疼痛閾値が下がることを検証する。音による鎮痛が可能かどうかの検証を広くボランテイアを募って行う。さらに、バイオフィードバックプログラムを作成し、実際に機能するかどうかボランテイアで検証する。さらに、生体信号の変化から鎮痛を導く機器のプロトタイプを開発する。そのプロトタイプの検証もボランテイアで行う。これらの成果を国際学会で発表の後、論文投稿を行う。

次年度の研究費の使用計画

バイオフィードバックの実証・音による鎮痛の誘導の実証のため、広告をだし、広くボランテイアを集める(約30万円必要)。さらに、ボランテイアに謝金を支払う(一人1回4000円必要)。昨年度の成果を日本疼痛学会で発表予定(2名参加)、さらに、国際学会(ヨーロッパ)でも発表を予定している。論文校正・投稿費用にも充てる。音の検証のためのプログラムの作成・アンケート調査にも充てる。プロトタイプの作成費用にも充てる。

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公開日: 2013-07-10  

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