本研究の目的は「痛みと音」に着目し、痛みを「音」で把握できるデバイスを作成すると共に、「音」で鎮痛を誘導する機器の開発を目標とする。そのために情報を音に変換する技術(Sonification)を用いる。 1.痛みを伴う身体的状況を、様々な生体モニターから取り出した情報を音に変換する技術(Sonification)を用いて、治療者のみならず患者にとって痛みに有利な状況を客観的に容易に判断できる機器を開発する。 2.痛みをやわらげる音の研究を行い、上記技術と連動させ、音による理学療法の可能性を探る。 であった。昨年度は痛みを伴う状況把握が可能な生体信号の分析を行い、各種モニターの中から末梢循環の指標であるPerfusion Indexが有用な信号であることを明らかにした。この知見を昨年7月の日本疼痛学会で発表した。さらに、その信号を音に変換するサンプルサウンドの検討を行い、音による理学療法を念頭に痛みを催す可能性の高い音、鎮痛に結び付けられる可能性の高い音を検討した。検討した結果、それぞれ1種類ずつの音を見出した。これらが本当に鎮痛を誘導できるか否かについて検討するための実験を計画した。本研究については情報の可聴化技術の世界的第一人者であるドイツのビーレフェルド大学、ハーマン博士の 助言を得て行われており、1か月に1度のペースで研究の進捗状況をテレビ会議で行った。 本年は熱刺激による痛み刺激を昨年度に見出した候補の音と組み合わせそれらの組み合わせにより主観的な痛みとPerfusion Indexがどのように変化するあの検討を行い、その結果を来年度の国際神経障害性疼痛学会で発表予定であり、その学会におけるプロシーデイングの投稿を行った。
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