研究課題/領域番号 |
23659747
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山本 達郎 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (20200818)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 視床痛 |
研究概要 |
本研究は、ラットに脳定位手術の手法を用いて、視床を中心とした侵害刺激伝達の経路に沿って様々な部位に神経障害を与え、中枢性神経障害性疼痛の発症を観察することを目的としたものである。本年度は、ラットの脳定位手術の技術を用いて、目的とする部位に正確にカニュラを挿入することが可能となる様に手技の向上を目指した。ラットをハロセン麻酔下に固定器に装着し、George Paxinos and Charles WatsonによるTHE RAT BRAINの図譜を用いて挿入する位置を決めた。カニュラは、視床以外にpreiaqueductal gray (PAG)、rostral ventromedial medulla (RVM)等にも挿入を試みた。挿入後のカニュラの位置は、当初はCTを撮影することにより確認する予定であった。しかしながら、正確な位置の確認(様々な核との関係など)が難しかったため、挿入後にラットを灌流固定し、ビブラトームにて切片を作成し、ニッスル染色を行った後に、解剖学的に位置の確認を行った。カニュラを予定した部位に確実に挿入することは難しく、本年度の実績としては技術の向上のみとなってしまい、実際に血液・化学物質(フェノール、アルコールを用いる。フェノール、アルコールの濃度は、共に70%から10%ずつ上げていき、100%まで)を入れる予定であったが、これらの物質による効果を検討することは出来なかった。平成24年度に、これらの物質以外に熱刺激などを行い、触刺激などに対する反応性を検討していく予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の計画では、カニュラの挿入手技の確立と、刺激物質である血液などの注入までが目標であった。しかしながら、カニュラ挿入手技の確立に時間を要したため、本年度はカニュラ挿入手技の確立のみしか達成できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に、カニュラ挿入技術の確立は達成できたため、24年度にはフェノール、アルコールなどの化学物質、血液、熱などによる神経損傷を作成し、知覚の低下、アロディニアの発症によりを検討していく予定である。これらの神経症状は、神経障害を与えた後、1日、3日、1週間、2週間、4週間後に評価する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
熱による神経損傷のためのラジオ波熱凝固の器械を購入の予定である。また、使用するラット、麻酔薬、固定用のホルマリンなどの消耗品の購入に研究費を充てる予定である。
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