本研究では、脳卒中後中枢性疼痛の動物実験モデルを作成することである。脳卒中後中枢性疼痛は、視床、視床ー頭頂葉間、脳幹への出血を契機として発症するものである。脳卒中後中枢性疼痛は、出血部位により痛みを生じる場合と生じない場合がある。従って、動物実験を行うに当たっては、正確にラットの視床、視床ー頭頂葉間、脳幹などに直接血液を投与したり、フェノール・フェノールグリセリンなどの神経破壊薬を投与する必要がある。 このため、平成23年度~平成24年度にかけて、ラットステレオ手術の方法を用いて、適切な部位にカニュラ先端を留置技術の習得に時間がかかった。さらに、痛みモデルを作成した後に、マイクロダイアリシス法を用いて脳内の神経核からのグルタミン酸・ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の放出の検討を目標とした。マイクロダイアリシス用のカニュラの挿入を、ステレオ手術の技術を用いて目的とする神経核へ留置する技術の確立を行った。さらに、マイクロダイアリシスの技術確立とともに、高速液体クロマトグラフィーを用いてのグルタミン酸・ノルアドレナリンなど濃度測定技術の確立を行った。 平成23年度~平成24年度を通じて上記の技術確立に時間がかかり、実際に血液・フェノール・フェノールグリセリンなどを直接投与しての脳卒中後中枢性疼痛モデルを確立するところまでは至らなかった。 平成25年度以降に、血液・フェノール・フェノールグリセリンなどを直接投与しての脳卒中後中枢性疼痛モデルの確立を目指していきたい。
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