研究課題/領域番号 |
23659748
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
佐和 貞治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10206013)
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研究分担者 |
池川 雅哉 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60381943)
橋本 悟 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90167578)
松山 広樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80515289)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 肺傷害 / マイクロサンプリング / 肺上皮被覆液 / プロテオミクス / マススペクトロメトリー |
研究概要 |
近年のマススペクトロメトリー技術の進歩は目覚しく、これを臨床応用して体液の網羅的なプロテオーム解析を行うことが可能である。気管支鏡下に低侵襲で特定領域のELFを採取できる気管支鏡下マイクロサンプリング(BMS)法を用いてELFを採取し、エレクトロスプレイ法によるイオン化(ESI)に、液体クロマトグラフィー(LC)、イオントラップ型の質量分析計をダンデムに組み合わせた質量分析法LC/MS/MS法によるMS/MS イオンサーチ、ペプチド・マス・フンガープリンティング(PMF)法、そして安定同位体システイン残基のビオチン化を用いたIsotope Coded Affinity Tags(ICAT)法を組み合わせて、定量的なELFプロテオームのDifferential displayとして解析する技術の開発を行った。ELF模擬サンプル(肺傷害患者以外からのサンプル)を用いた解析を行い、技術的な障壁について確認を行えた。解析データは、XML化した生体情報をXMLデータベースに蓄積し、呼吸上皮を覆う上皮被覆液(epithelial lining fluid, ELF)に含まれるプロテオームを視覚的にウェブ・ブラウザ上で解析するソフトウェアElficatの開発を行った。このように膨大な生体情報を整理し、ウェブ上の関連データベースとリンクさせて分析可能とする技術は麻酔・集中治療医学研究においても今後有用であった。今後、これらの技術を応用して、急性肺傷害の病態におけるELF分析に応用を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回、LC/MS解析を用いたプロテオームの分析に機器の安定的な使用を含めた技術的なトレーニングに時間を要した。一方で、解析ソフトウェアの開発部分は順調に進み、ほぼ当初の目的通り達成されている。XMLデータベース(eXist)、Apache Cocoon XSLサーバーによるサーバーサイドXSL技術、Scalable Vector Graphics(SVG)技術を組み合わせて、呼吸上皮を覆う上皮被覆液(epithelial lining fluid, ELF)に含まれるプロテオームを視覚的にウェブ・ブラウザ上で解析するソフトウェアElficatの開発を行った。
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今後の研究の推進方策 |
LC/MS解析による肺被覆液プロテオーム分析に向けて、模擬サンプル(既知のタンパクを含む)を利用して、解析条件の安定化を探る。同時に、臨床において適応患者が発生した場合には、倫理委員会の規定に沿って患者の同意のもと、気管支内視鏡下での肺被覆液のサンプリングを、病態時期に合わせて施行し、採取したサンプルは、解析まで冷凍保存する。LC/MS解析にアプライする前に必要となるサンプルの脱塩、SDS-PAGE、トリプシン処理などについて、解析を安定化させる条件を探る。さらには、本年度の目標として患者の病態を記録するデータベースの開発を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
マイクロサンプリングプローベ(オリンパス社)の購入費用を確保する。また、採取した肺被覆液サンプルの遠心分離に用いる消耗品類、脱塩処理、続いて一次元SDS-PAGE、ゲルからのバンド抽出に用いる試薬、トリプシン、ICAT処理などの処置に用いる試薬・消耗品類の購入を行う。さらには、実験を補佐する大学院生のLC/MS解析に用いる試薬を含むランニングコストの費用について確保する。市販データベースソフト(FileMaker Pro, MS-Excel)の購入に費用を当てる。また、経過については、途中達成された時点で、日本麻酔科学会総会などで学術発表を計画している。発表に用いるポスター作成費を計画に含めている
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