研究課題/領域番号 |
23659751
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
阿部 恭子 久留米大学, 医学部, 助教 (50569522)
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研究分担者 |
原田 秀樹 久留米大学, 医学部, 准教授 (30198923)
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キーワード | 国際研究者交流 / 局所脳冷却 / 脳虚血 / ドイツ |
研究概要 |
蘇生後脳症に対する治療を目的とした脳低温を誘発する方法として、選択的脳冷却法の臨床試験が試みられており、その手段としてはヘルメット型と鼻咽腔冷却型とがあげられる。一方、薬剤誘発性低体温は、冷却装置のない施設でも脳障害の発生後直ちに導入可能である事からも興味深い。我々は選択的脳冷却法を長期間にわたり適応する基礎データを構築するために、ペルチェ型熱電素子を用いた冷却装置と脳波電極、レーザー血流計プローブをハイブリッドさせた非開頭型ラット用冷却デバイスのプロトタイプを開発中である。これまでの研究で、申請者が改良したデバイスを用い、虚血性脳障害に対する薬剤誘発性低体温の有用性を模索する包括的国際共同研究開発を本年度より本格的にスタートした。 本年度は、研究提携先のDivision. Molecular Neurology (Schwab S.,Kollmar R.,Tauchi M.),Department of Neurology,University Hospital Erlangen(独)から研究員が留学中であり、ラット用非開頭型局所冷却デバイスを用いた脳温制御の可否と局所脳虚血モデル=photothrombosis model における保護作用を現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究提携先のDivision. Molecular Neurology (Schwab S.,Kollmar R.,Tauchi M.),Department of Neurology,University Hospital Erlangen(独)から研究員が留学中であり、ラット用非開頭型局所冷却デバイスを用いた脳温制御の可否と局所脳虚血モデル=photothrombosis model における保護作用を現在検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
1)薬剤誘発性低体温 低体温を誘発するtransient receptor potential vanilloid type 1 (TRPV1)のリガンドとしてのOLDAに着目し脳梗塞モデルにおける役割について追求する。また、カンナビノイドの特異的レセプターであるCB1 は主に中枢神経に存在しCB2 に関しては主に免疫細胞に発現しているが、虚血性脳障害後に障害部位に集積してくるミクログリアにも特異的に発現する事から、再灌流障害時における炎症制御の観点からも検討を行う。 2)局所冷却による外因性低体温 ヘルメット型のラット局所冷却モデルに関する報告は、Taniguchi,2003 Clark,2007.Fujioka,2010 など数少ない。また虚血再灌流後に飲食も含めてfree moving が可能で、少なくとも2週間程度の温度制御可能な手法は連携研究者のFujioka の報告した手法のみである。しかしながら、この手法も開頭下に脳表に直接デバイスを装着する事から頭蓋内圧に影響を与え、脳虚血性再灌流障害の中長期的研究には懸念が生じる。我々は、Fujioka の所属する山口大学医学部脳神経外科学教室と綿密なる研究体制をとりながら、既に自らが開発しているラット両側BIS 測定用脳波電極デバイス及び非開頭下脳血流測定用デバイスを改良し、ペルチェ型熱電素子と水冷式の温度制御装置をハイブリッドさせたシステムを開発中で、本申請によりさらなる改良が得られた場合、今回の共同研究のみならず多方面へ応用可能な手法となり得る。本年度は脳梗塞モデルにおける役割について追求する。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでの研究助成により基本的な動物実験設備、モニタリングの購入、システム構築は既に終えている。 したがって、実験動物、麻酔薬などの消耗品および学会発表に必要と思われる品目のみを使用予定である。
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