研究概要 |
・ 昨年度より行っているヒト検体を用いた腎癌の腫瘍血管(CD34陽性、αSMA陰性)とmicrovessel area (MVA)と予後と検討の結果、腫瘍血管のMVAは腎癌の独立した予後規定因子であることが明らかとなった。現在この結果については投稿中である。 ・ 昨年度実現しなかったGFPマウスの骨髄細胞をヌードマウスに移植する実験を行った。ヌードマウスに全身放射線照射を行い、GFPマウスより採取した骨髄細胞を尾静脈注射することで骨髄移植を行ったが、全例が死亡し、骨髄移植が成功しなかった。 ・ 腫瘍血管の形成に骨髄由来細胞が関与の有無を検討することが本研究の目的であるが、本年度も骨髄移植が成功せず、直接的にこのことを検討することができなかった。その代替として、腫瘍血管を形成する腫瘍の間質の環境に着目した。腫瘍の浸潤、転移、腫瘍血管真性には細胞外基質の破壊が重要なステップであるが、この反応に必要なコラゲナーゼ産生刺激活性を持つextracellular matrixmetalloproteinase inducer (EMMPRIN)の腫瘍細胞における発現が腫瘍血管ののMVAと強い相関を持つことを明らかにした。 ・ 腎癌細胞で、EMMPRINの発現を抑制させると、血管新生因子(VEGF, bFGF)の発現が低下した。逆に発現を亢進させると、腫瘍は増大するとともに、腫瘍血管の新生も増加した。 ・ 以上のことから、腎癌における腫瘍血管新生にEMMPRINが関与している可能性があり、EMMPRINによる骨髄細胞やcirculating endothelial progenitor cellsがどのように変化するか検討することが次の検討項目である。
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