研究課題
[目的]子宮頸癌の臨床病理的特徴と病変から検出されるHPVタイプとの関連について検討すること。[方法]2007-2011年に登録された多施設共同研究「子宮頸癌とHLAに関する症例対照研究」の298例のなかで、ハイリスクHPV単独感染が見られた臨床進行期IB1期以上の子宮頸癌199例を臨床病理学的に解析した。本研究では中央病理診断を行い、統一した基準での組織診断が行われた。また、HPVの型決定にはクリニチップHPV検査を用いた。[成績]病変から検出されたHPVタイプの内訳は、HPV16陽性が104例 (52.3%)、HPV18陽性が48例 (24.1%)、そのほかのハイリスクHPV陽性が47例 (23.6%)であった。発症時の平均年齢は、HPV16陽性患者 (47.7±12.6歳)とHPV18陽性患者 (47.4±10.8歳)ではそのほかのハイリスクHPV陽性患者 (55.0±14.3歳) と比較して統計的に有意に若かった (各々 P=0.002 および P=0.004)。臨床進行期III/IV期の進行癌は、HPV16陽性患者 (29.9%) や HPV18陽性患者 (27.6%)のあいだで差が見られなかった (P=0.79)。近年増加していると報告されている腺癌 (腺扁平上皮癌を含む) の割合は、HPV16陽性癌の27.9%に対してHPV18陽性患者では47.9%と統計的に有意に高かった (P=0.004)。臨床進行期1b期の患者ではHPVタイプによる予後の差は見られなかったが、II期以上の症例に限るとHPV18陽性患者の方がHPV16陽性患者よりも有意に予後が不良であった (P=0.03)。[結論] HPV18陽性癌ではHPV16陽性癌と同様に若年発症が多く、HPV16陽性癌よりも腺癌および予後不良の癌が多いことが明らかになった。
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