研究課題
脳性小児麻痺(CP)は、低酸素イベントとこれに続く一連の再灌流・脳損傷、さらには回復過程を経て病態が形成される。損傷過程には炎症が関与しており、神経細胞は脱落後に幹細胞からの増殖・分化を経て再生される。最近では、中枢神経内に存在するneurosteroidsが、これらの過程を制御しており、外傷や虚血による脳損傷からの回復を早めることが明らかになってきた。今回の研究では、黄体ホルモン投与のCP発症予防効果について、ラットモデルを用いて検討した。妊娠母ラット(18.5 d.p.c.)の子宮動脈を45分間駆血して、子宮内虚血再灌流によるCPモデルを作成した。出産後に、黄体ホルモン薬(0.1mg/day)を9日間投与して、経日的に運動能と脳組織像の評価を行った。CPラットでは、大脳皮質と海馬に神経細胞の脱落と膨化、neuN染色性の低下など認められ(10日齢)、ローターロッド試験で運動性の低下が認められた(50日齢)。黄体ホルモン投与は、CPラット脳に認められた破壊性変化を軽減させ神経細胞数を回復させると共に、運動性や自発運動などの機能性指標を有意に回復させた。合成プロゲスチン投与では、回復効果は認められなかった。組織学的検討により、黄体ホルモンが初期の神経細胞死の抑制・脳内炎症反応の抑制・脳神経軸索と髄鞘形成の促進に関与している可能性が示唆された。今回のモデル動物を用いた研究により、黄体ホルモン薬がCPの発症予防に有用である可能性が示唆された。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件)
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