研究課題/領域番号 |
23659776
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
佐野 健司 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (50205994)
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研究分担者 |
林 琢磨 信州大学, 医学部, 准教授 (60359726)
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キーワード | Cancer stem cell / side population / main population / leimyosarcoma / leiomyoma |
研究概要 |
手術的に採取されたヒト子宮正常平滑筋組織、または子宮平滑筋腫さらに子宮平滑筋肉腫から組織片を分離して、物理的(鋏でできる限り細かく切り刻む)、酵素的(コラーゲナーゼtype IV 0.2%とDNase I 0.05%)に消化分離後、平滑筋細胞の培養を試みた。10%FBS+DMEMで10日から2週間培養後にはαSMA陽性かつcalponin陽性の純度の高い平滑筋細胞が得られた。この細胞をレゼルピン、あるいはベラパミル存在化のヘキスト染色で、SP, MPの分離を試みたところ、幹細胞が多く含まれるとされるSP分画が得られた。初期培養を省略して、平滑筋組織を同様な方法で物理的、酵素的に分離して、単細胞化した直後に、SP, MPの分離も可能であった。しかしながら、両方法ともに分取後の間葉系細胞stem cell用培養試薬では低酸素状態で充分な増殖が得られなかった。同じ材料を使用して、間葉系幹細胞のマーカーとされるCD271の発現も併せて検討した。FACS解析では、数パーセントの割合でCD271陽性細胞が含まれていたが、SP分画と必ずしも一致したものではなく、CD271がstem cellの主分画とは考え難かった。次にSP分画及びMP分画の細胞(1x10の5乗~2x10の5乗個)をNOD-SCIDマウス1匹ずつの副乳頭に移植した。現在マウスへの腫瘍生着を観察中である。次年度の課題として、移植したマウスの解析とともに幹細胞の増殖がより早く進むように、SPの細胞量を増やすため、最初の組織量をできるだけ増量して、実験を試みるようにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人体材料を扱うため、手術日程との調整や採取量の制約があり、実験回数が限定され、条件検討のための充分量の検体が得られていない。子宮平滑筋肉腫については、少ない頻度のため、一度のみ実験に使用したのみである。 ある程度の培養条件の検討が終了したので、今後、採取量が充分確保可能な平滑筋腫材料で、最終的な至適条件を決定して、平滑筋幹細胞の増殖、遺伝子精製を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
1)検体量が充分に確保可能な平滑筋腫材料を使用して、ヘキスト染色によるSP, MPの分離、 2)分取後、一定の増殖をさせた後、間葉系多分化能の検定を行う。 3)培養条件が安定的に設定できた後に、増殖させた平滑筋腫、正常平滑筋、平滑筋肉腫の幹細胞の遺伝子を精製する。 4)マイクロアレイ解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の研究計画に則って、培養関係や細胞分離用の試薬代、分取後の遺伝子解析代に使用する。 1)培養関係試薬:培養液、CD271, CD133,ALDEFLUOR, CD44など。 2)遺伝子解析:mRNAの分離、精製とマイクロアレイ解析委託。 前年度未使用額が838,965円が生じたが、これは臨床材料に由来する肉腫材料が充分量得られず、マイクロアレイ解析ができなかったためである。平成25年度は条件検討がある程度済んだ比較的疾患頻度の高い子宮平滑筋腫を優先的なターゲットに絞って、幹細胞のアレイ解析を行う予定である。
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