研究課題
本研究ではヒトの子宮内膜および子宮筋などの幹細胞の表面マーカーならびに分泌蛋白を同定しこれらを指標にしてヒト雌性生殖器官の成体幹細胞の特性と機能を明らかにすることを目的とする。そのためにシグナルシークエンストラップ法(SST-REX法)を用いる戦略とした。その出発材料となる幹細胞と非幹細胞を明確に異なる集団として分離することが本研究の成否を決するため、昨年度に引き続き幹細胞特性をin vivoで確認するシステムの最終的な確立を目指した。その結果、重度免疫不全マウスを用いたヒト子宮内膜再構成系とレンチウイルスによる細胞標識・細胞追跡法を組み合わせることで多分化能を指標にしたin vivoヒト子宮内膜幹細胞アッセイ系を確立し、論文として発表した(Miyazaki, et al., PLoS ONE, 2012)。これにより少なくとも現時点では内膜side population (SP)細胞が内膜幹細胞の最有力候補集団と考えられた。そこで、SST-REX法を用いるべく、内膜SP細胞からのRNA抽出を行った。しかし摘出ヒト子宮全体の内膜に占める内膜SP細胞の割合は約2%であり、さらにSP細胞はG0期といった静止期に留まっているために内膜SPのRNA量は少ない。従って、摘出ヒト子宮全体の内膜SPからは総量で高々500ng程度しか抽出できないことが判明した。一方、SST-REX法には約5μgの高品質のRNAが必要となる。良好なヒト検体と高品質のRNAを十分な数だけ得るのは限られた期間の中では困難であることを再認識したうえで、約5μgの高品質のRNAを得るべく、最終年度はRNAサンプルの蓄積を継続的に行った。さらに、手術検体回収システムの見直しに加えて、SP細胞分離法やRNA抽出法などの条件設定や改良・改善を行い、最終目標であるSST-REX法へ応用し得る基盤技術と基盤知見が得られた。
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公益財団法人山口内分泌疾患研究振興財団 内分泌に関する最新情報 2012(WEB論文)