平成25年度の研究実績の概要を以下に示す。 1.解剖を施行した羊水塞栓症3例、および羊水塞栓症以外で死亡に至った妊産婦死亡例1例の剖検により得られた肺組織を対象として以下の研究を行った。 2.ホルマリン固定、パラフィン包埋(FFPE)された肺組織を薄切し、そこからRNAを抽出した。RNAの質の評価には、A260(核酸)/A280(蛋白):(1.8-2.0が良好)を用いた。マイクロRNAの検出、アレイでの評価には耐えられるものと判断した。 3.マイクロRNAの網羅的解析には、東レ社製のmiRNA Oligo Chipを使用した。研究途上のために詳細は記載できないが、以下の結果を得た。羊水塞栓症症例の肺組織標本において非羊水塞栓症の肺組織標本と比較し、5種類のマイクロRNAが1.5倍以上の強度で増加していた。また、12種類のマイクロRNAが1.5倍以上減弱していた。 4.網羅的に解析したマイクロRNAの関連を評価するためにヒートマップを作成した。 5.最近、臨床的に羊水塞栓症に2つのタイプが存在することが提唱されている。今回の研究で対象としている症例の臨床的特徴等を明らかにするために当教室および関連施設で経験した羊水塞栓症10症例の臨床的事項をまとめ論文化した。
|