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2011 年度 実施状況報告書

ミューラー管悪性腫瘍における癌幹細胞の同定と新たな治療戦略の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23659787
研究機関国際医療福祉大学

研究代表者

江本 精  国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (80258540)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード癌幹細胞 / 子宮癌肉腫 / ミューラー管 / 婦人科癌 / 血管新生 / CD133 / 4-Oct / Wnt4
研究概要

がん幹細胞の追求は、将来のがん治療を根本的に大きく変動させる可能性を秘めている。近年の知見から、現行の化学療法や放射線療法は分化したがん細胞に対しては殺細胞効果を認めるが、がん幹細胞に対してはほとんどその効果を認めないことが明らかになった。つまり、悪性腫瘍の中に少数存在するとされるがん幹細胞が腫瘍全体をコントロールしているという説が強く支持されるようになった。従って、現行の治療法では大幅な治癒率の向上は期待薄であり、がん幹細胞を標的とする新たながん治療戦略の開発が特別に注目されている。現在、あらゆる悪性腫瘍においてがん幹細胞を探索する研究が活発に行われ始めたが、婦人科領域ではがん幹細胞の同定はまだ明らかにされていない。本研究では婦人科悪性腫瘍の主体である子宮がん(ミューラー管がん)のがん幹細胞を追求し、新たな治療法を創案するのが目的である。我々は婦人科がんの中でも最も未分化であり且つ多分化能を有するミューラー管悪性腫瘍に注目し、がん幹細胞の追求を行ってきた(Emoto; Cancer 1993, Virchow arch 1997)。本腫瘍はがん肉腫であり、以前から幹細胞腫瘍(Stem Cell Tumor)ではないかと推察されていた極めて悪性度が高く予後不良な腫瘍である。平成23年度では、我々が過去において樹立した本腫瘍のFU-MMT-1細胞株(Emoto M, et al. Cancer 1992)を用いてCD133表面抗原をマーカー同腫瘍の幹細胞様集団の絞り込みに成功し、その性状分析を行い学術論文として報告した(Choijamts B, Emoto M, et al. Stem Cell 2011)。CD133+FU-MMT-1細胞はミューラー管分化関連遺伝子を著明発現する幹細胞モデルであり、今後更なる追求を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでのデータを平成23年度に新たに判明した研究データをまとめることにより、まずは最初の学術論文を報告した(Choijamts B, Emoto M, et al. Stem Cell 9:1485-1495, 2011)。

今後の研究の推進方策

今後の推進方策について次の2点が重要である。第一はマウスを用いた実験の円滑な遂行、第二はマイクロRNAとがん幹細胞との関連についての究明である。動物実験の遂行には安定したがん幹細胞株の供給が重要であり、常に増殖能と分化能を検討した上でFU-MMT-1細胞の培養と分離を行っていく必要がある。さらに、我々が樹立したFU-MMT-3子宮癌肉腫株(Emoto M, et al Virchow Archiv1997:431;249-256)を用いてFU-MMT-1株と同様に幹細胞の分離に努める。今後はCD133で分離した子宮癌肉腫の幹細胞集団におけるマイクロRNAの発現を調べる予定であり、施設内での精密な検討が困難であれば外部機関との共同又は委託研究として遂行する必要が出てくる可能性がある。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度(初年度)においては、マウスへの癌幹細胞の安定した移植系の樹立がやや遅れているので、FU-MMT-2細胞の培養をより綿密に且つ多数または多種の培養系をを用いて行うように改良を行って行く予定である。つまり、研究費の多くは安定したin vivoの系を数種設定することに多くの費用が必要となる。次にこれらの培養系におけるマイクロRNAとがん幹細胞との関連についての究明を計画している。我々が樹立したFU-MMT-3子宮癌肉腫株(Emoto M, et al Virchow Archiv1997:431;249-256)を用いてFU-MMT-1株と同様に幹細胞の分離に努めるため、この作成に研究費が費やされる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] CD133+ Cancer Stem Cell-like Cells Derived from Uterine Carcinosarcoma (Malignant Mixed Mullerian tumor)2011

    • 著者名/発表者名
      Choijamts B, Kuroki M, Iwasaki H, Emoto M.
    • 雑誌名

      Stem Cells

      巻: 29 ページ: 1485-1495

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Clinical usefulness of contrast-enhanced color Doppler ultrasonography in invasive and noninvasive gestational trophoblastic diseases: a preliminary study2011

    • 著者名/発表者名
      Emoto M, Sadamori R, Hachisuga T, Kawarabayashi T, Miyamoto S.
    • 雑誌名

      J Reprod Med

      巻: 56 ページ: 224-234

    • 査読あり
  • [学会発表] 公募研究課題報告:ミューラー管がん幹細胞の追求とその性状分析を基礎とした治療法の開発

    • 著者名/発表者名
      江本 精
    • 学会等名
      第51回日本婦人科腫瘍学会(招待講演)
    • 発表場所
      福岡県久留米市
    • 年月日
      平成23年11月26日

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公開日: 2013-07-10  

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