研究課題/領域番号 |
23659790
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
和田 仁 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30111264)
|
研究分担者 |
村越 道生 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70570901)
小山 眞 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10465487)
小林 俊光 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80133958)
|
キーワード | 耳科学 |
研究概要 |
我々の聴覚は外有毛細胞の伸縮運動により鋭敏なものになっている.その伸縮は,細胞側壁に存在する直符10 nm程度のタンパク質モータ-prestin (プレスチン) が変形し,大きい状態と小さい状態の2状態をとることに起因すると推定されている.本研究では膜電位コントロールデバイスを備えたAFMを新規に開発し,世界に先駆けてプレスチンの変形挙動を可視化することを試みる.これによりプレスチンの動作メカニズム解明に向けたブレークスルーの創起を狙う. 本年度は,昨年度開発した膜電位コントロールデバイスを用いて,プレスチンを発現させた培養細胞の電気特性計測及び単離細胞膜表面の微細構造観察を試みた.さらに同デバイス上に人工脂質膜を形成し,その電気特性の計測を試みた. 培養細胞を用いた実験において,開発した膜電位コントロールデバイス基盤の微小ポア(直径約2μm)上に,培養細胞をポジショニングすることに成功した.これにより,電気抵抗値が細胞ポジショニング前に比べて50倍程度増加する様子が観察できたと同時に,細胞膜表面の詳細構造の可視化に成功した. 人工脂質膜を用いた実験においては,開発した膜電位コントロールデバイス基盤の微小ポア上に,人工脂質膜を形成することに成功した.これにより,2 GΩの電気抵抗値が計測され,ギガオームシールの形成が確認された. これらの結果より,開発したデバイスを用いて細胞膜電位をコントロールしながら細胞膜表面膜タンパク質の変形挙動を可視化できることが示唆された.今後,当該研究計画で開発したデバイス及び得られた知見を基に,人工脂質膜中に精製プレスチンを再構成し,その電気特性の計測と変形挙動の可視化に取り組む計画である.
|