研究課題/領域番号 |
23659791
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
浅田 行紀 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (70436103)
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研究分担者 |
志賀 清人 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10187338)
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キーワード | 頭頸部扁平上皮癌 / 組換え体乳酸菌 / 遺伝子治療 |
研究概要 |
本年度は震災のため停滞していた実験系を新たに構築し、継続的に動物実験を行える環境を整備できた。前年度同様ヌードマウスに頭頸部扁平上皮癌細胞株HSC2、SASの2種を移植し、形成した腫瘍にヒトIL2導入組換え体乳酸菌および非組換え体乳酸菌(lactobacillus casei)を5x108cfu、5日間連続局所注入した。腫瘍の体積を測定していくとこれまでと同様にIL2導入乳酸菌は明らか にコントロールに比し、強力な腫瘍抑制を示した。また、非組み換え体でも組換え体 に比較して弱いながらもある程度の腫瘍抑制効果を示した。これらの結果から乳酸菌(lactobacillus casei)には頭頸部扁平上皮癌の増殖を抑制する働きがあり、IL2導入組換え体乳酸菌ではその効果がさらに高まることが明らかとなった。これまでのところ実験で用いたヌードマウス個体の臓器内では細菌が認められず、安全に投与可能と考えられた。 この腫瘍抑制効果は乳酸菌の持つ腫瘍免疫増強作用によるものと考えられ、現在種々のサイトカインについてヌードマウス個体での誘導が認められるかどうかを検討している。 前年度の結果を受けて現在長期実験を行っているところであるが、観察期間も長期を要するため、その結果はまだ完全に出てはいないが、短期実験の際でもコントロール群のヌードマウスではやせが顕著で食欲も低下するのに対し、乳酸菌注入群ではやせも軽度で元気な個体が多く、長期生存が期待できると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度 は使用不能となった細胞株や細菌株を新たに他施設から供与を受けなければならなくなり、実験開始が大幅に遅れる結果となった。また、実験の一部を分担研究者がいる岩手医科大学で行 うこととなったため、新たに倫理委員会や、動物実験施設などへの組換え体使用の申請が必要となり、このための時間も必要であった 。さらに実験開始のための研究室の準備なども必要であった。 今年度は研究環境が整って継続的に動物実験を遂行できるようになったが、最初の遅れがひびいており、全体としてまだ遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
1.短期実験では腫瘍抑制効果と安全性は確認できたので、今後臨床応用を目指すために、さらに長期実験を行う。すなわち乳酸菌投与後の抗腫瘍効果および生存率を検討するばかりではなく、発熱、摂食、体重などの生体反応の変化をモニターすると同時に臓器の障害 など副作用の検討を行う。 2.乳酸菌による抗腫瘍効果には細胞性免疫担当細胞、液性免疫担当物質(インターロイキンなど)の関与が予想される。ヌードマウ ス個体の血清中にはTNFα、IL12などのインターロイキンが多量に増加し、Th1型の免疫誘導を行うことが予想される。今後、さらに組 換え体乳酸菌を用いることにより、どのような腫瘍免疫が誘導されるのかを検討する。 3.効果と安全性が確認されれば、臨床応用に向けて頭頸部癌の再発・進行例に対する治療のphase I studyを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、当初計画していた乳酸菌投与後の抗腫瘍効果および生存率を検討する長期実験を次年度に延期することによって生じたものであり、延期した乳酸菌による抗腫瘍効果判定に必要な経費として、平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。 研究費の大部分は消耗品費として使用される。具体的には細胞培養用試薬、牛胎児血清、細菌培養用試薬、ヌードマウス購入費など である。さらに病理学的検討のための費用、サイトカイン測定のための費用などが必要である。旅費は主に研究者の打ち合わせや学会での研究成果発表のために用いられる。
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