研究課題/領域番号 |
23659792
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
吉崎 智一 金沢大学, 医学系, 教授 (70262582)
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研究分担者 |
遠藤 一平 金沢大学, 大学病院, 助教 (30547154)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 頭頸部癌 / 化学療法 / シスプラチン / ミセル化キャリア / drug delivery system |
研究概要 |
シスプラチンは頭頸部癌の化学療法のキードラッグであるが、腎機能障害、骨髄抑制などの有害事象が問題であった。ミセル化シスプラチンは、シスプラチンを内包したミセル化粒子として開発された。これは血中での安定性とがん細胞に特異的に集積するDrug Delivery Systemに基づく薬剤であり、これまで消化器癌などにおいて高い抗腫瘍効果と有害事象を抑制することが報告されている。今回われわれは、ヌードマウスに移植した舌癌細胞株モデルを用いてシスプラチンとミセル化シスプラチンの抗腫瘍効果と腎機能などの有害事象について比較検討した。頭頸部癌細胞株(HSC-2, HSC-3, OSC-19, OSC-20)に薬剤添加後の細胞増殖抑制効果を測定。2剤ともin vitroにおいて同等の細胞増殖抑制効果を示した。続いて舌癌細胞株OSC-19をヌードマウスに移植後、薬剤を10mg/kgでweekly投与。4週後に抗腫瘍効果、血中BUN、Crを測定。2剤の抗腫瘍効果は有意差なかったが、BUN、Crはシスプラチンで有意に高い値を示した。以上から、頭頸部癌においてもミセル化シスプラチンは従来のシスプラチンと同等の抗腫瘍効果を有しつつ、有害事象を抑えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミセル化シスプラチンの頭頸部癌での有用性についてin vitro, invivoともに従来のシスプラチンと非劣性であることを示し、腎機能障害は軽減することを示した。さらに腫瘍組織においてはシスプラチンよりも薬剤移行性が高いことを証明した。2011年6月の日本頭頸部癌学会において発表した。
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今後の研究の推進方策 |
ミセル化シスプラチンの有効性をさらに向上させるために、現在腫瘍血管正常化により抗癌剤の腫瘍内への高い集積性と、それによる抗腫瘍効果向上を検討している。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き、ヌードマウスに舌癌細胞株移植モデルを作成しミセル化シスプラチンと血管新生阻害剤を併用した際の抗腫瘍効果を検討する予定である。
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