研究課題/領域番号 |
23659792
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
吉崎 智一 金沢大学, 医学系, 教授 (70262582)
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研究分担者 |
遠藤 一平 金沢大学, 附属病院, 助教 (30547154)
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キーワード | シスプラチン / ナノテクノロジー / 頭頸部癌 |
研究概要 |
シスプラチンは頭頸部癌の化学療法のキードラッグであるが、腎機能障害、骨髄抑制などの有害事象が問題であった。ミセル化シスプラチンは、シスプラチンを内包したミセル化粒子として開発された。これは血中での安定性とがん細胞に特異的に集積するDrug Delivery Systemに基づく薬剤であり、これまで消化器癌などにおいて高い抗腫瘍効果と有害事象を抑制することが報告されている。われわれは、ヌードマウスに移植した舌癌細胞株モデルを用いてシスプラチンとミセル化シスプラチンの抗腫瘍効果と腎機能などの有害事象について比較検討した。頭頸部癌細胞株に薬剤添加後の細胞増殖抑制効果を測定。2剤ともin vitroにおいて同等の細胞増殖抑制効果を示した。続いて舌癌細胞株OSC-19をヌードマウスに移植後、薬剤を10mg/kgでweekly投与。4週後に抗腫瘍効果、血中BUN、Crを測定。2剤の抗腫瘍効果は有意差なかったが、BUN、Crはシスプラチンで有意に高い値を示した。さらに舌癌細胞株(OSC-19)をヌードマウス舌に移植、頸部リンパ節転移モデルを作成した。シスプラチン、ミセル化シスプラチンを腫瘍周囲粘膜に局注した。移植後35日目に頸部リンパ節転移の有無を評価した。同様の実験系で、薬剤投与後頸部リンパ節内のプラチナ濃度を継時的に測定した。ミセル化シスプラチン投与群ではコントロール群、シスプラチン投与群に比べて有意に頸部リンパ節転移を抑制した。薬剤投与後のリンパ節内プラチナ濃度に関してもミセル化シスプラチンがシスプラチンに比べ高く、リンパ移行性が高いことが判明した。以上から、頭頸部癌においてもミセル化シスプラチンは従来のシスプラチンと同等の抗腫瘍効果を有しつつ、有害事象を抑えることができた。またミセル化シスプラチンは、従来のシスプラチンに比べてリンパ移行性が高く頸部リンパ節転移制御に有用であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミセル化シスプラチンの頭頸部癌での有用性をマウスも用いた基礎実験系で証明できた。
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今後の研究の推進方策 |
抗腫瘍効果を高めるために多剤との併用、腫瘍血管を標的とした治療との組み合わせ等について検討。最も抗腫瘍効果が得られる治療法の開発を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
ヌードマウスを用いた、ミセル化シスプラチンの有用性を引き続き検討する。そのためマウス購入費、シスプラチン濃度測定、その他物品購入の予定である。 繰越金発生の理由:ヌードマウスに投与したシスプラチン濃度の解析については外部委託しており、測定には2~3ヵ月程度の期間が必要なため。
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