研究課題
平成25年度は、両側人工内耳手術を実施した症例を対象に2つの両耳聴の研究を行った。1.方向感検査法による両耳聴の成立の有無に関する研究:これまでと同様に、リオン社製方向感検査装置を用いて、両耳時間差、両耳音圧差について500Hzのバンドノイズを刺激音として調べた。その結果、a.両耳時間差はいずれの症例でも成立しなかった。B.両耳音圧差についてはいずれの症例でもコントロールに比べて閾値は高いが成立した。この2つとも両耳音圧差による能力の改善によるものであることがわかった。2.両耳分離能検査による両耳聴の成立の有無に関する研究:両耳分離能検査は、三桁の数字によるDichotic Listening法を用いて行った。人工内耳には誘導コイルを両耳に用いて行った。その結果、両側人工内耳装用下に成立することがわかった。ただし正答率は各耳50%以下で左右差については有意はなかった。この結果は、左右の耳から入った数字の音声情報は、脳の中で分離統合されることが明らかにされた。平成25年度は以上の他に、片側小耳症・外耳道閉鎖症の術後の患者に対して術側にカナル型補聴器を装用させ方向感検査を行い、両耳聴が成立するか否かプレリミナリーな研究を行った。その結果90%の患者では音圧差も時間差も成立することがわかった。恐らく時間差が成立するには、中耳・内耳が機能していることが必要条件であることが示唆された。
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