研究課題/領域番号 |
23659803
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
木ノ内 玲子 旭川医科大学, 医学部, 特任准教授 (70344562)
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キーワード | Vogt-小柳-原田病 |
研究概要 |
平成23年度に急性期原田病患者の末梢血中CD4陽性T細胞からmRNAを抽出し、逆転写反応後cDNAをテンプレートとして29種類のVβ特異的プライマーを用いたPCR法により、Genescanで特徴のある増加パターンを示すVβ鎖遺伝子を検出し、このVβ遺伝子を発現するCD4陽性T細胞レパートリー内に、CDR3領域の特異性(クロノタイプ)で頻度の高いクローンAが見つけた。平成24年度にクローンAと異なるVβ遺伝子を発現するCD4陽性T細胞レパートリーを検討したとこる、急性期原田病患者11例中7例にCDR3領域の特異性でクローンBを見つけた。治療後の4例中4例でもこのクローンは認められ、クローンAとは存在意義の異なるものと推測される。 クローンAが原田病の病勢の強い時に特異的に増加しているものである事を裏付け研究を遂行中である。現在、治療後患者12名の解析を進めており、結果の出ている10名ではクローンAは認められなかった。 クローンAの原田病での特異性を証明するため、原田病以外の非感染性ぶどう膜炎で同様の検討を行う承認を、平成24年度に本院の倫理委員会で得た。現在、原田病以外の非感染性ぶどう膜炎患者5名の解析中である。 クローンAが原田病診断につなげられるものか裏付ける成果がでてきており、意義は大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
急性期原田病患者17人とその治療後の患者12人、原田病以外の非感染性ぶどう膜炎患者5名の解析が進んでいる。 現在、急性期原田病患者で認められたクローンAに対する抗体を作成中である。抗体作成に時間を要しており、研究が計画よりやや遅れている。この抗体により患者リンパ球に占めるクローンAの割合の検討が可能となる。また、患者の単核球からクローンAを抽出し、T細胞受容体のα鎖の遺伝子配列を調べ、クローンAと同じT細胞受容体を発現する細胞を作成できる。この細胞を利用して抗原ペプチドの検討を進める。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度はクローンAの原田病活動期での特異性の検討に重点を置き、原田病の治療後と原田病以外の患者の検討をすすめる。同時に、原田病の診断ツールとしてクローンAの特異性の簡便な検出方法を検討する。患者単核球のFACSとそのDNAからのreal time PCRでクローンAを検出できるか検討する。クローンAと同じT細胞受容体を発現する細胞を作成にも着手する。 本年度は実験助手が加わり、研究を遂行している。
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次年度の研究費の使用計画 |
原田病治療後と原田病以外の非感染性ぶどう膜炎患者のCDR3のアミノ酸配列の解析と、クローンAに対する抗体の作成、患者単核球のFACSとそのDNAからのreal time PCRでのクローンAの検出、クローンAのVα鎖のDNA配列の決定、Vβ鎖とともに発現ベクターに構成し、TCRネガティブT細胞株(Jurkat-)への導入に研究費を使用する予定である。
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