研究課題
緑藻類クラミドモナスより単離されたチャネルロドプシン-2(ChR2)は、発色団としてレチナールを有し、540nm以下(青色)の光に反応し、細胞内に陽イオンを透過させる光受容陽イオン選択的チャネルとして機能することが知られている。「光受容 + 陽イオンチャネル」という特性から、神経細胞に発現させた場合、単一の分子の働きで光情報を電気信号に変換することが可能である。これを利用することによって、一次視覚野にChR2遺伝子を導入し、視覚野を直接、映像で刺激するという全く新しい脳刺激型人工視覚装置を作ることができると考えられる。これを達成するために、視覚野への遺伝子導入法について検討した。導入法検討では、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの皮質への親和性についてAAV2/2およびAAV2/5の2つの血清型について調べた。また、感染方法は注入と散布の2種類を試みた。皮質に対する親和性はAAV2/5で高く、注入法で感染が確認できた。また、CAGではなく、CaMKIIプロモーターを用いた場合にわずかに瞳孔反射が確認された。しかし、その発現効率はCAGプロモーターを用いた場合の方が高く、導入効率とその反応は必ずしも一致しなかった。以上の結果から、視覚野に遺伝子導入を行い、視覚野に直接映像を提示する人工視覚を開発できる可能性が示された。しかしその一方で、正常な視覚機能を作り出すためには、細胞種特異的に遺伝子導入することが重要である可能性が示され、今後は細胞種特異的なプロモーターを持つウイルスベクターを開発することが重要であると考えられる。
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