培養ヒト角膜・結膜上皮シートを用いた実験、ノックアウトマウスを用いた実験、臨床サンプルを用いた実験を行った。 培養細胞シートでの検討。ヒトprimary培養角膜・結膜上皮シート、ヒト不死化角膜上皮細胞(SV40cell)シートにIL-1bを添加したところシンデカン4の発現量の有意な増加をELISA法にて検出できた。シンデカン1はprimary結膜上皮細胞シートにおいてIL-1b添加により有意な増加が認められた。 動物実験。Syndecan4のノックアウトマウスとwildtypeのマウスでの角膜創傷治癒速度の違いを検討した。物理的創傷モデルでは2群間に有意差がなかった。炎症を伴う上皮創傷作成モデル(アルカリ負荷、実質内LPS注射等)においても2群間で創傷治癒速度には差がなかった。血管やリンパ管新生はSyndecan4heteroKOマウスよりhomoKOマウスで多かった。 臨床サンプルの検討。角結膜疾患のある患者、健常者を対象として、東大病院及び関連病院眼科にて採取した136眼分の涙液中のsyndecan-4の濃度の測定を行った。男性52人、女性84人より採取した。右眼70眼、左目66眼より採取した。平均年齢は66±18歳であった。測定感度内は120眼であった。Syndecan-4の平均涙液中濃度は3485±3537pg/mlであった。活動性のある感染症の患者では2965±4497pg/mlであった。
|