研究課題/領域番号 |
23659807
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
望月 學 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10010464)
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研究分担者 |
杉田 直 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (10299456)
高瀬 博 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20451940)
川口 龍史 東京医科歯科大学, 医学部, 非常勤講師 (90376707)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 免疫療法 / 制御性T細胞 / ぶどう膜炎 |
研究概要 |
今までの我々の研究室での研究により、マウスにおいては網膜色素上皮細胞の培養上清をT細胞と培養することにより、活性化T細胞を免疫抑制作用のある制御性T細胞(Treg)に誘導することができる事が判明している。そこで、本年度は、マウスにおいて虹彩色素上皮細胞、毛様体色素上皮細胞、網膜色素上皮細胞により誘導される制御性T細胞(Treg)の免疫活性を解析した上で、Tregによるぶどう膜炎の治療への応用を目指して、まず最初にマウスと同様の方法によりヒトにおいてもTregが誘導できるかを検討した。その結果、マウスと同様の方法ではヒト網膜色素上皮細胞はT細胞をTregに誘導出来ない事が判明した。そこで、ヒト網膜色素上皮細胞とヒトレコンビナントTGFβ(hrTGFβ)で前刺激する事で、ヒト網膜色素上皮細胞のTreg誘導能力を引き出せるか否かを検討した。その結果、hrTGFβで前刺激したヒト網膜色素上皮細胞の培養上清をT細胞と培養することにより、bystander T細胞の活性化を抑制し、炎症性サイトカイン産生を抑制するCD25+Foxp+のTregを誘導できることが明らかとなった。しかし、そのTregにはCD25lowCD45AR+の休止性のTreg分画、DR25highCD45RA-のactive Treg分画、DR25lowCD45RA-のnon-suppressive Treg分画が混在することが判明し、その中からnon-suppressive Treg分画を除去することにより、極めて免疫抑制活性の強いTreg分画を得ることに成功した。TGFβで前刺激したヒト網膜色素上皮細胞培養上清で誘導され、non-suppressive Treg分画を除去したTregをヒト網膜色素上皮細胞誘導Tregとして次年度の研究をおこない、その免疫抑制効果を解析することにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス網膜色素上皮細胞による制御性T細胞(Treg)の誘導方法をヒト網膜色素上皮細胞に応用してもTreg)を誘導出来ない事が明らかとなったが、ヒト網膜色素上皮細胞をヒトレコンビナントTGFβで前刺激することによりTregを誘導する方法を樹立した。更に、この方法で誘導したヒトTregにはnon-suppressive Tregが混在していることを見出し、それを除去することにより純度が高く免疫抑制活性の強力はTreg細胞集団を得ることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究で明らかにされたヒト網膜色素上皮細胞により誘導されるTreg、即ち、TGFβで前刺激したヒト網膜色素上皮細胞培養上清で誘導し、更にnon-suppressive Treg分画を除去したTreg)を用いて以下の研究をおこなう。(1)ヒト網膜色素上皮細胞誘導Treg細胞の種々のヒト活性化T細胞に対する免疫抑制活性を解析する(2)In vivoの作用を検討するために、ヒトと同様の方法で誘導したマウスTregをぶどう膜炎動物モデル(実験的自己免疫性ぶどう膜炎)において解析する
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の研究をおこなうために、試薬、培養チューブ、実験動物などの消耗品の経費が必要である。
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