研究課題/領域番号 |
23659808
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大野 京子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30262174)
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研究分担者 |
森田 育男 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60100129)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 加齢黄斑変性 / アミロイドbeta / 緑内障 / 網膜 / 視神経 / 多光子励起 |
研究概要 |
平成23年度は、まず網膜下に凝集アミロイドbetaを留置したのちに眼球を摘出し、ex vivoで網膜下のアミロイドを検出できるかを検討した。その結果、摘出網膜においてPiBにて部位特異的にアミロイドbetaを描出することができた。さらに二光子励起によりアミロイドbetaに特異的なスペクトラムを解析し、アミロイド前駆タンパクのトランスジェニックマウスの網膜と脳の切片を観察し、これらの組織内に蓄積したアミロイドbetaを検出することが可能であった。そこでつぎに、AMDモデルマウスとして、我々が報告したneprilysin欠損マウス(J Clin Invest 2005)およびAmyloid precursor proteinトランスジェニックマウスにおいてPiBをマウスの腹腔内もしくは尾静脈から注入し、そののちに眼球を摘出し、網膜伸展標本を用いてアミロイドbetaの蓄積を観察した。その結果、アミロイドbetaを網膜下に注入したマウスとは異なり、蓄積したアミロイドbetaの量が少ないため十分な蛍光強度で観察することが困難であった。現在neprilysin欠損マウス(J Clin Invest 2005)およびAmyloid precursor proteinトランスジェニックマウスの交配により、さらに網膜下に多量のアミロイドbetaを蓄積するマウスを作成しており、このマウスを用いてin vivoのアミロイドbeta検出を網膜において進めようとしている。以上において、網膜内に蓄積したアミロイドbetaを検出することが可能となれば、網膜の変性が生じる前に前駆段階で検出でき、アミロイドbetaを標的とした全く新しい治療を可能にするものである
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
neprilysin遺伝子欠損マウス、またはAPPトランスジェニックマウスの単独では網膜内のアミロイドbetaの蓄積がやや少ないことが問題であったが、現在さらに交配を進め、二重変位マウスを作成することによりこの問題は解決できると考えている
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今後の研究の推進方策 |
neprilysin遺伝子欠損マウス、またはAPPトランスジェニックマウスの単独では網膜内のアミロイドbetaの蓄積がやや少ないことが問題であったが、現在さらに交配を進め、二重変位マウスを作成することによりこの問題は解決できると考えている。二重変異マウスにおいて網膜内の十分量のアミロイドbetaの蓄積を確認した後に、ただちにマウスにおけるin vivoでの蛍光観察、さらにはヒト剖検眼における観察へと順次進めていく予定である
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次年度の研究費の使用計画 |
二重変位マウスの作成ののちに、マウス用眼底カメラ(Phoenix社製;標識物質に即した蛍光フィルタを装着)を用いて眼底蛍光撮影を施行し、in vivoで眼底のAmyloid betaが最も良く可視化できる条件を設定するとともに、撮影終了後に眼球摘出し、網膜組織を用いてAmyloid betaに対するELISAとAmyloid beta抗体を用いた免疫組織染色を施行し、眼底撮影で観察されたAmyloid beta画像と、組織的に確認されたAmyloid beta蓄積が一致することを確認する。つぎに上記のモデルマウスに対し、まずbaselineの眼底Amyloid beta画像を取得したのち、Amyloid betaを標的とした新規分子化合物を眼球内および眼球周囲に異なる容量で投与する。短期治療効果として治療後3か月後に眼底Amyloid betaの減少を検討するとともに、眼球摘出し免疫組織学的にAmyloidの減少がみられるかを確認する。長期治療効果の最終判定は次年度に行う。最後に初年度のマウスにおけるex vivo, in vivoの成果をもとに、ヒト網膜内に蓄積した眼底Amyloid betaをex vivoで可視化できるか、剖検眼を用いて検討する。加齢黄斑変性もしくはドルーゼン、および緑内障を有するヒト死体眼球をアメリカNational Disease Research Instituteから日本のNPO法人HAB研究機構(すでに入会済み)を通じて入手入手したヒト眼球を、(1)網膜組織切片を作成し、標識物質とスライドガラス上で反応、もしくは(2)眼球内に標識物質を注入し反応させた後に半割し、網膜伸展標本を作製、を行うそれぞれの方法において、A標識物質の蛍光を走査レーザー検眼鏡を用いて観察し、ヒト網膜に蓄積したAmyloidがex vivoで可視化できるか検証する
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