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2011 年度 実施状況報告書

緑内障ステント手術の開発と線維柱帯の組織学的変化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23659809
研究機関新潟大学

研究代表者

上田 潤  新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (10401746)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードトラベクロトミー / 二枚刃ゴニオトミーナイフ / 150゜トラベクロトーム
研究概要

緑内障ステント手術を開発する目的で、ステントグラフトの作製についてHOYA社と共同開発に着手したが、当初予定していたシリコンハイドロゲルによるグラフトは、埋植医療機器としての耐久性と形態保持性に関して、組成の検討や安全性の確認等に膨大な時間がかかってしまうという理由で頓挫した。また、それに代わる素材としてPMMAによるグラフトも検討したが、250ミクロンの管の中にC形状の空洞を作製する工程が加工上困難という理由で、やむなく撤退せざるを得ないという結論に達した。 緑内障ステント手術以外の方法で、現在のトラベクロトミーをより安全に、より大きな眼圧下降効果を得るものに改良するため、後述のような新しい術式と手術器具の開発に着手した。150゜の長いトラベクロトームを2本(ほぼ全周)シュレム管に挿入したのち、二枚刃のゴニオトミーナイフを粘弾性物質で満たした前房内に入れ、内側からトラベクロトームをガイドにして200ミクロンの幅で線維柱帯組織を切除するという新しい術式である。従来のトラベクロトミーでは120゜の線維柱帯を鈍的に切り裂くのみだったが、この術式では一定の幅をもって組織を切除するので創が閉鎖しにくく、また360゜の線維柱帯を切開できる点が優れている。近年国内でも販売が開始されたトラベクトーム(熱凝固によって線維柱帯を焼灼・切開する装置)と、北海道大学眼科が開発した360゜スーチャー・トラベクロトミーの両者の長所を兼ね備えた術式である。150゜のトラベクロトームは小林製作所に、二枚刃のゴニオトミーナイフはカイ・インダストリーズ社に試作品の作製を依頼し、2月にプロトタイプが完成した段階である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

前述の通り、埋植医療機器としての耐久性と形態保持性という問題が立ち塞がり、組成の再検討から始めなければならないこと、安全性の確認に膨大な時間を要すること、精緻な加工になるため技術的なハードルが多々あることなどから、緑内障ステントをシュレム管に挿入するという当初の計画が頓挫したことが、達成度の遅れの最大の理由である。それに代わる新たな術式の考案と手術器具の開発に方針を転換し、メーカー企業の全面的な協力のお陰で、現在試作品の作製までなんとか漕ぎ着けたところである。

今後の研究の推進方策

今後は、豚眼などを用いた基礎実験で操作性の良い医療器械になるよう改良を重ね、実用性が高いレベルに達した段階で倫理委員会に計画書を申請し、既に失明し高眼圧のために眼痛を生じている末期緑内障患者に、十分な説明と同意のうえでこの新しい緑内障手術を施行したいと考えている。まずは30゜~従来通りの120゜程度の小範囲の切開から始め、安全性が確認されれば360゜で行いたいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

カイ・インダストリーズ社と小林製作所には、既に試作品の作製を進めて頂いており、今後実用に耐えうるレベルの医療機器に改良された時点で、成功報酬を支払う必要があると考えている。また、本手術については国内外の学会で発表する予定で、学会旅費も計上する予定である。

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公開日: 2013-07-10  

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