研究課題/領域番号 |
23659813
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
佐々木 均 長崎大学, 大学病院, 教授 (00170689)
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キーワード | 遺伝子デリバリー / 加齢黄斑変性症 / γ-polyglutamic acid |
研究概要 |
前年度は、pDNAとカチオン性高分子との複合体にγ-polyglutamic acidを被膜することで、高い遺伝子導入効率と安全性を兼ね備えた画期的な眼科疾患用遺伝子ベクターの開発に成功した。本年度はchondroitin sulfate (CS) を新規被膜成分とした遺伝子ベクターの開発を試みた。モデルとしてホタルルシフェラーゼをコードしたpDNAとカチオン性高分子であるpolyethylenimine (PEI)を結合させたカチオン性複合体(pDNA-PEI:PEI複合体)を調製した。さらに、chondroitin sulfate (CS)を混合させて、新規遺伝子ベクター(pDNA-PEI-CS: CS複合体)の構築を試みた。各成分の混合比と調製プロセスを最適化することで、ナノサイズの安定なアニオン性の複合体を構築することに成功した。 製剤学的検討により最適化した各複合体をヒト網膜由来細胞ARPE-19細胞に添加し、遺伝子発現効率および細胞障害性について検討した。その結果、CS複合体はPEI複合体で認められた細胞傷害性を示さず、PEI複合体に匹敵する遺伝子発現効果を示した。また、日本白色家兎の眼球から抽出した硝子体と各複合体を混合した結果、PEI複合体においては硝子体成分との凝集および白濁が認められたが、CS複合体では認められなかった。さらに、In vivoにおける遺伝子導入効率を検討するために、各複合体を日本白色家兎に硝子体内投与し、24時間後の網膜中の遺伝子発現量について定量解析した。PEI複合体およびCS複合体のいずれも高い遺伝子発現効果を示した。 以上のように、我々は本年度の研究によって、CS複合体が高い遺伝子導入効率と安全性を兼ね備えた眼科疾患用遺伝子ベクターになり得る可能性を示した。今後は、モデル動物を用いた遺伝子抑制効率および薬理効果の評価を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた平成24年度の研究実施計画をほぼ達成しているため、概ね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度も、当初予定していた研究計画に従い研究を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度配分が予定されている研究費については、消耗品費および旅費として使用する予定である。また、平成24年度の繰越は高額なsiRNAの購入に使用する予定である。
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