CFP蛍光標識されたミトコンドリアを有するマウスに2光子顕微鏡を用いて、網膜神経節細胞のミトコンドリア軸索輸送をin vivoでタイムラプス法で動画撮影を行った。得られた動画をkymographで解析することにより、ミトコンドリア軸索輸送の速度を定量した。さらに4ヶ月齢マウスの上強膜静脈をレーザー照射することで眼圧を上昇させ、緑内障モデルとして同様の観察を行った。緑内障モデルで、レーザー後3日目に網膜神経節細胞密度の有意な減少はなかったが、同密度はレーザー後14日目では有意に減少していた(P<0.0001)。対照群のミトコンドリア輸送数は、軸索1mmあたり、102±6個であったが、レーザー後3日目では65±7個へ減少した(P=0.0001)。ミトコンドリア長は、2.23±0.08μmから1.81±0.06μmへ短縮した(P<0.0001)。また、12ヶ月齢の老マウスのミトコンドリア長も4ヶ月齢マウスに比して、1.57±0.04μmへ短縮した(P<0.0001)が、輸送数は125±8個/mmと増加した(P=0.048)。以上のことより、緑内障モデルマウスにおいて、網膜神経節細胞の細胞死前にミトコンドリア軸索輸送が低下することをライブイメージで観察できた。加齢によってもミトコンドリア長は短縮するが、輸送数は減少しない点が緑内障性視神経症と異なっていることが分かった。
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