研究課題
本研究では、日本人ベーチェット病患者を対象として、自己抗体検出システム(コムギ胚芽無細胞タンパク質合成ロボット)を用いて網羅的自己抗体解析を行うことにより、ベーチェット病におけるインフリキシマブ不応答性に関わるタンパク質をすべて同定する(生化学的アプローチ)。さらに、ゲノムワイド関連解析(genome-wide association study: GWAS)により同定した遺伝情報をもとにインフリキシマブ不応答性に関わる遺伝子の検索を行う(遺伝学的アプローチ)。現在までに、ベーチェット病患者12例を対象に網羅的自己抗体解析を完了しており、これら12例をインフリキシマブ応答群と不応答群(一次無効、二次無効、効果不十分)に層別化し、不応答群と相関する自己抗体を検索した結果、インフリキシマブ不応答性に関連する可能性を示唆するタンパク質が複数見られた。また、日本人のGWASデータの情報を用いて遺伝的アプローチにより、インフリキシマブ不応答性に関わる遺伝子の検索を行った結果、複数の遺伝子がインフリキシマブの不応答性に相関の傾向を示した。今後、生化学的アプローチおよび遺伝学的アプローチの結果をより強固なものにするため、対象患者を増やして解析を実行し、真にインフリキシマブ不応答性に関わる因子の特定を試みる。本研究の成果は、ベーチェット病患者個人個人に応じたより適切な治療法の確立につながり、その医学的意義は大変高いと考えられる。
2: おおむね順調に進展している
本研究は、平成23年度より、インフリキシマブ不応答性に関わる自己抗体プロファイルの網羅的検索(生化学的アプローチ)およびインフリキシマブ不応答性に関わる遺伝子の検索(遺伝学的アプローチ)を開始し、平成24年度前半までに両アプローチによる解析を完了する予定である。平成23年度は、両アプローチともに順調に進行し、インフリキシマブ不応答性に関わる可能性を示唆する候補因子が複数見出されている。現在の進度で継続して実験が行われれば、平成24年度前半までには、インフリキシマブ不応答性に関わる因子の同定が完了すると考えられる。したがって、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
平成24年度は、平成23年度に引き続き、インフリキシマブ不応答性に関わる自己抗体プロファイルの網羅的検索(生化学的アプローチ)およびインフリキシマブ不応答性に関わる遺伝子の検索(遺伝学的アプローチ)を遂行し、平成24年度前半までに両アプローチによる解析を完了する。その後、同定された情報をもとに、ベーチェット病におけるインフリキシマブの有効性の有無を予測できるか否かを検討し、患者個人個人に応じた適切な治療法の確立を試みる。
平成24年度は、平成23年度に引き続き、インフリキシマブ不応答性に関わる自己抗体プロファイルの網羅的検索(生化学的アプローチ)およびインフリキシマブ不応答性に関わる遺伝子の検索(遺伝学的アプローチ)を行う予定である。遺伝学的アプローチによる遺伝子の検索では、既に全ゲノムを網羅する遺伝情報を得ているため、遺伝学的アプローチにおける研究費は最小限に止めることが出来る。したがって、生化学的アプローチによる自己抗体プロファイルの網羅的検索に用いる試薬および酵素類の費用が研究費の主になると考えられる。
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