研究課題/領域番号 |
23659816
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
篠宮 克彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50585289)
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研究分担者 |
横井 則彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60191491)
上田 真由美 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (60398386)
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キーワード | ドライアイ / 眼窩外涙腺摘出マウスドライアイモデル / 炎症性細胞浸潤 |
研究概要 |
平成24年度は、昨年度に予定を前倒しして眼窩外涙腺摘出マウスドライアイモデルを確立できたため、本モデルを使用した動物実験をメインに行った。また、眼窩外涙腺摘出マウスドライアイモデルの有用性および、ドライアイ眼における涙液中IL-1βの上昇の知見に関して、学会発表を国内1報(第116回日本眼科学会総会)、海外1報(ARVO2012)行った。 平成24年度の研究実績 (1)C57BL/6 (wild type) マウスを用いてドライアイを惹起させた際の角結膜下への炎症性細胞浸潤の程度を組織学的に検討した。その結果、ドライアイ眼において結膜下への好中球主体の炎症性細胞浸潤が観察された。一方で、マウスは本来非特異的炎症反応が出やすい動物であるため、非処置眼と比べて炎症性細胞の浸潤程度に統計学的有意差は認められなかった。 (2)次に、好中球がEGFP由来の蛍光を発する遺伝子改変マウス (LysM-eGFPマウス) を用いてドライアイを惹起させた際の角結膜下への炎症性細胞浸潤の程度を検討した。角結膜の伸展標本(whole mount)を作製して検討した結果、ドライアイ眼において結膜下への好中球主体の炎症性細胞浸潤が観察された。しかし検討例数が少なかったこともあり、非処置眼と比べて炎症性細胞の浸潤程度に統計学的有意差は認められなかった。 以上のように、マウスを用いたドライアイ症状に誘発される眼表面の炎症性細胞浸潤に関する組織学的解析では、現在のところ十分な結果が得られていない。このため、平成25年度ではこれらの問題をクリアする必要があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスのドライアイモデルを用いた検討は予定を前倒しして進めることができた。またドライアイ症状と角結膜下組織に浸潤する炎症性細胞との相関も、統計学的に有意ではないものの確認することができている。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も動物実験を主として行う。ドライアイ症状と角結膜下への炎症性細胞浸潤の関連を有意差をもって証明するために動物実験を追加する。またドライアイ症状と炎症性サイトカインIL-1βの関連についてmRNAレベルの解析を進める。 ドライアイによるIL-1βの産生経路にinflammasomeが関与しているかは現時点では判明していない。我々が予想したものとは異なる機序が関与している可能性も明らかとなってきている。また涙液中IL-1βの由来も明らかではない。本年度は前述のような不明点も解消すべく研究を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度と同様、平成25年度の研究費は動物実験に用いる試薬、分析用試薬の購入、実験動物の購入および維持など、主に消耗品費として使用する。また研究成果の発表あるいは情報収集のため、各種学会に参加するため旅費としても使用する。
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