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2012 年度 実施状況報告書

細胞質内ウイルス認識機構RIG-Iファミリーによる眼表面感染防御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23659817
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

木下 茂  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30116024)

研究分担者 上田 真由美  同志社大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60398386)
キーワードRIG-Iファミリー / 病原体認識機構 / TLR3
研究概要

細胞外やエンドゾーム内において病原体構成成分を検知するToll like receptor (TLR)が同定され、その機能解析が大きく進んでいる。本研究では、細胞内に侵入したウイルスに対する防御機構としてRIG-Iファミリーなどの細胞内病原体認識機構に着目し解析を行った。RIG-Iファミリーとは、RIG-I、MDA5で構成され、ウイルス感染細胞内においてウイルス由来RNAを検知し、抗ウイルス性サイトカインの産生シグナルを伝達する分子群である。ヒト培養角・結膜上皮細胞に、ウイルス由来二本鎖RNAを加え、網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、抗ウイルス分子やアレルギー関連分子の発現が上昇するとともに、RIG-IやMDA-5の遺伝子発現も著明に上昇する。眼表面上皮細胞では、ウイルスに対する感染防御機構としてTLR3だけではなく、細胞内病原体認識機構であるRIG-IやMDA-5が大きく関与している。
また、細胞内病原体認識機構であるRIG-IやMDA-5の共通のアダプター因子であるIPS-1を欠損したマウスを用いて、これらの機能を解析したところ、ウイルス由来二本鎖RNAを点眼したIPS-1欠損したマウスの結膜上皮では、ウイルス由来二本鎖RNAを点眼した野生型マウスを比較して、Rsad2, Mx2, Cmpk2, Iigp2, Ifi44, Cxcl10, Mx1, If9203, Rtp4などの遺伝子発現が有意に低下していた。これは、ウイルス感染における眼表面上皮の生体防御にRIG-IやMDA-5が貢献していることを示している。
さらに、TLR3がプロスタグランジンと相互作用があることが明らかとなったことより、RIG-IやMDA-5についてもプロスタグランジンと相互作用を示す可能性が示唆され今後解析していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度は、細胞内病原体認識機構であるRIG-IやMDA-5の共通のアダプター因子であるIPS-1を欠損したマウスを用いて、これらの機能を解析を進めている。ウイルス由来二本鎖RNAを点眼したIPS-1欠損したマウスの結膜上皮では、ウイルス由来二本鎖RNAを点眼した野生型マウスを比較して、Rsad2, Mx2, Cmpk2, Iigp2, Ifi44, Cxcl10, Mx1, If9203, Rtp4などの遺伝子発現が有意に低下している事より、ウイルス感染における眼表面上皮の生体防御にRIG-IやMDA-5が貢献していることを示している。
さらに、同様にウイルス由来二本鎖RNAを認識する細胞外病原体認識機構TLR3についても解析をすすめ、TLR3がプロスタグランジン受容体と相互作用を有することを明らかにしている。

今後の研究の推進方策

細胞内病原体認識機構であるRIG-Iファミリーに着目し、眼表面上皮におけるその機能ならびに、プロスタグランジン受容体との相互作用、炎症・感染防御機構における役割についての解析進めることにより、新規治療薬の開発へとつなげる。方法としては、細胞内病原体認識機構であるRIG-IやMDA-5の共通のアダプター因子であるIPS-1を欠損したマウスや、プロスタグランジン受容体との二重欠損マウスを用いて、野生型マウスとその反応性、遺伝子発現を比較解析する。

次年度の研究費の使用計画

次年度は最終年度になるため、実験・研究に必要な物品費に加えて、学会発表のための旅費、学会参加費等に、研究費を使用する予定である。物品費の詳細としては、マウスの飼育費、定量PCR・免疫染色・WesternBlottingに必要な試薬・抗体等が必要になる予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] HLA-A*0206 with TLR3 Polymorphisms Exerts More than Additive Effects in Stevens-Johnson Syndrome with Severe Ocular Surface Complications2012

    • 著者名/発表者名
      Ueta M, Tokunaga K, Sotozono C, Sawai H, Tamiya G, Inatomi T, Kinoshita S
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 7(8) ページ: e43650

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Ocular surface inflammation is regulated by innate immunity2012

    • 著者名/発表者名
      Ueta M, Kinoshita S
    • 雑誌名

      Prog Retin Eye Res

      巻: 31(6) ページ: 551-575

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Prostaglandin E2 Suppresses Poly I: C-Stimulated Cytokine Production Via EP2 and EP3 in Immortalized Human Corneal Epithelial Cells2012

    • 著者名/発表者名
      Ueta M, Matsuoka T, Sotozono C, Kinoshita S
    • 雑誌名

      Cornea

      巻: 31(11) ページ: 1294-1298

    • DOI

      10.1097/ICO.0b013e31826a7f41

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Epistatic interaction between Toll-like receptor 3 (TLR3) and prostaglandin E receptor 3 (PTGER3) genes.2012

    • 著者名/発表者名
      Ueta M, Tamiya G, Tokunaga K, Sotozono C, Ueki M, Sawai H, Inatomi T, Matsuoka T, Akira S, Narumiya S, Tashiro K, Kinoshita S
    • 雑誌名

      J Allergy Clin Immunol

      巻: 129(5) ページ: 1413-1416.e11

    • DOI

      10.1016/j.jaci.2012.01.069

    • 査読あり
  • [学会発表] EP3 Negatively Regulates TLR3 dependent eosinophilic infiltration of allergic conjunctivitis.2012

    • 著者名/発表者名
      Ueta M, Matsuoka T, Narumiya S, Akira S, Kinoshita S
    • 学会等名
      European Academy of Allergy and Clinical Immunology Congress 2012
    • 発表場所
      Geneva, Switzerland
    • 年月日
      20120617-20120617
  • [学会発表] アレルギー性結膜炎におけるTLR3とPGE2受容体サブタイプEP3の遺伝子間相互作用2012

    • 著者名/発表者名
      上田真由美, 松岡俊行, 成宮周, 審良静男, 木下茂
    • 学会等名
      第116回日本眼科学会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20120406-20120406
  • [学会発表] ヒト眼表面上皮細胞におけるRIG-1ならびにMDA5の発現2012

    • 著者名/発表者名
      上田真由美, 外園千恵, 横井則彦, 木下茂
    • 学会等名
      角膜カンファランス2012
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20120223-20120223

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公開日: 2014-07-24  

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