研究課題/領域番号 |
23659827
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
関堂 充 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40372255)
|
研究分担者 |
石毛 和紀 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20597918)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
竹内 薫 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00192162)
川上 浩司 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70422318)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 悪性黒色腫 / サイトカイン / 受容体 / 標的治療 / バイオ療法 |
研究概要 |
悪性黒色腫は悪性度が非常に高いことより完全治癒の期待出来ない難治性の癌腫である.これら癌腫に対しては分子標的療法を含む新規治療法の演じる役割は大きい.近年では,細胞殺傷能力を有するペプチドや強力な抗腫瘍効果を有するペプチドが複数報告されている.そこで研究分担者の川上らは癌細胞表面分子と結合する特異的な「弾頭ペプチド」と癌細胞膜融解による細胞殺傷効果を有する「爆薬ペプチド」を精力的に組み合わせ,抗癌活性を有する「ハイブリッドペプチド」の作製に成功した.本研究では,悪性黒色腫に対する新しいバイオ療法を確立する目的で,悪性黒色腫の表面分子を探索し,抗癌ペプチドとの組み合わせにより新規ハイブリッドペプチドを作製し,本ハイブリッドペプチドの抗癌効果についてin vitro およびin vivoの実験系にて検証した. 代表者らは悪性黒色種の臨床標本の解析と臨床経過に関するデータベースの構築中である.IL-4受容体を発現する黒色腫症例と非発現症例に関する悪性挙動と術後予後についても解析中である.そこで,本年度は,すでにIL-4受容体の発現が確認されている口腔癌について検討を行った.膜融解性ハイブリッドペプチドIL-4-lyticの抗腫瘍効果を検討したところ,IL-4-lyticを用いて行った細胞障害性実験では,口腔癌の細胞株すべてにおいてIL-4-lytic濃度依存性に細胞増殖の低下が見られた.一方,IL-4を欠くlyticのみでは細胞障害性は殆ど認められなかった.本IL-4-lyticの抗腫瘍効果はIL-4受容体を介するものと考えられた.皮下腫瘍モデルでは,IL-4-lyticの腫瘍内投与により,有意な腫瘍の縮小効果が観察された.IL-4受容体を標的とするハイブリッドペプチド療法(IL-4-lytic)は,悪性黒色腫に対しても新規バイオ治療としての有用である可能性がると示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
悪性黒色腫の臨床標本における表面分子の解析が遅れている.従来使用していたIL-4受容体の特異抗体によるIL-4受容体の検出が困難な状況である.何種類かの特異抗体を用いて検討を重ねている。
|
今後の研究の推進方策 |
膜融解性ハイブリッドペプチドIL-4-lyticの抗腫瘍効果を検討するために,悪性黒色腫細胞における腫瘍表面分子の探索と発現レベルの解析を継続する.また,抗体の選定が終了した際には,早速,悪性黒色腫細胞における発現レベルの解析にも着手する.転移モデルの構築のために,ルシフェレース遺伝子導入細胞を作製し,さらに,担癌動物モデル作製と画像解析を予定している.
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度においては,IL-4受容体の特異抗体の作製,ルシフェレース遺伝子導入細胞の構築,担癌転移モデル動物の作製に研究費を使用する.
|