研究課題/領域番号 |
23659827
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
関堂 充 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40372255)
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研究分担者 |
石毛 和紀 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20597918)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
竹内 薫 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00192162)
川上 浩司 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70422318)
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キーワード | 悪性黒色腫 / サイトカイン / 受容体 / 標的治療 / バイオ療法 |
研究概要 |
ヒト癌腫にはinterleukin-4 receptor(IL-4R)の発現が確認されており, IL-4受容体標的サイトトキシン(IL-4-PE)がヒト胆道癌に対する強力な抗腫瘍効果が示されている.さらに,最近では,癌細胞膜融解による細胞殺傷効果を有する「爆薬ペプチド」と癌細胞表面分子と結合する特異的な「弾頭ペプチド」を組み合わせた抗癌活性を有する「hybrid peptide」の有用性が,分担研究者らにより確認されている.IL-4Rに結合するIL-4R-hybrid peptideは各癌腫に対して強い抗腫瘍効果を発揮する可能性がある. 悪性黒色腫は悪性度が高く完全治癒の期待出来ない難治性の癌腫である.また,口腔癌も進行例では難治性の癌腫である.これら癌腫に対しては分子標的療法を含む新規治療法の演じる役割は大きい.本研究では,悪性黒色腫および口腔癌に対するIL-4R-hybrid peptideの抗腫瘍効果を検討した.臨床病理標本を用いたIL-4Rの発現について,悪性黒色腫では検出が困難であった.一方,口腔癌では,臨床病理標本において正常上皮に比較してIL-4Rの発現レベルが高いことが確認された.また,その癌細胞株においてもIL-4Rの発現レベルは正常口腔上皮細胞に比較して高いことが確認された.IL4-lytic hybrid peptideは,in vitroにおいてIL4受容体が高発現している癌細胞株に対して,効果的な殺細胞効果を示し、また、口腔癌細胞株を用いたin vivoにおけるマウス異種モデルにおいても用量依存性に抗腫瘍効果を発揮することが確認された.悪性黒色腫に対するIL4-lyticの効果は検証出来ていないものの,口腔癌におけるIL-4受容体を標的としたIL4-lytic hybrid peptideは,新たな口腔癌の治療に有効である可能性が示唆された.
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