切断・坐滅により神経はWaller変性を起こすことが知られている。現在の医学では変性後の神経をいかに再生させるかが最重要とされている。神経移植などは再生における有効な手段として臨床に応用されているが、完全に満足のいく効果が得られない場合も多い。その理由は I)筋などは再生神経到達前に萎縮して本来の機能回復を得られない。 II)神経軸索再生時に神経鞘が瘢痕化し再生軸索数が制限される。 ことである。そこで発想を転換し、Waller変性する前に切断された神経軸索をつなぐこと実験モデルを構築することとした。活イカの巨大軸索を用いて、まず経時的な電気生理学的手法および分子解剖学的手法を用いて観察することを目指した。計画前には明らかでなかった活イカの疼痛対策を行うため、高侵襲実験法に対する麻酔法を確立した。また巨大電気生理学的な軸索刺激および伝導速度計測法を確立した。同時に蛍光マーカーを用いて軸索輸送の動きを観察し軸索輸送の回復過程を観察する方法については、想定よりも高倍率が必要であることが分かり現在共焦点蛍光顕微鏡等を用いて実験を行い、軸索内染色を確立した。
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