研究課題
脂肪由来幹細胞のリンパ管新生に対する基礎的研究を行った。Matrigel plug assayによるin vivoでのリンパ管新生作用を検討した。方法は、リンパ管内皮細胞用の基本培地を用いて、培養上清中に放出された脂肪由来幹細胞分泌因子を限外濾過膜を用いて濃縮したものをgrowth factor reduced Matrigelに混和したものをマウスの皮下に注入し、2週間後に回収したものをPFA固定後に凍結包埋し切片を作製した。これをリンパ管内皮細胞特異的抗原であるLYVE-1を用いて免疫染色を行い、リンパ管新生を評価した。無血清培地をネガティブコントロールとし、無血清培地にリコンビナントVEGF-C 100ng/mlで加えたものをポジティブコントロールとして比較した。脂肪由来幹細胞分泌因子群で明らかにLYVE-1陽性細胞の数が多かった。これらの結果から、前年度までに得られたin vitroで脂肪由来幹細胞分泌因子はリンパ管新生作用を示したことに加えて、in vivoでリンパ管新生をリコンビナントVEGF-Cよりも強力に促進することが見出された。さらに、in vitroでリンパ管内皮細胞に脂肪由来幹細胞分泌因子を作用させた際のリンパ管内皮細胞の転写因子であるProx1の経時的変化をqRT-PCRで解析した。脂肪由来幹細胞分泌因子は、一時的にリンパ管内皮細胞のProx1の発現を低下させながらもリンパ管新生作用を示した。このような作用を示す因子としてIL-8が報告されている。脂肪由来幹細胞分泌因子はIL-8と同様、cell cycle inhibitorであるKipファミリーの発現を低下させている所見を見出した。脂肪由来幹細胞の多様な組織再生作用の一因ではないかと考えられた。これまでに得られた成果をまとめて、論文と学会での報告を行った。
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Annals of Plastic Surgery
巻: Epub ahead of print ページ: 1-9