研究課題/領域番号 |
23659847
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
橋爪 誠 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90198664)
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研究分担者 |
赤星 朋比古 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20336019)
富川 盛雅 九州大学, 大学病院, 准教授 (60325454)
村田 正治 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 准教授 (30304744)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 脂肪由来間葉系幹細胞 / 肝硬変 / 肝臓線維化 / 門脈圧亢進症 |
研究概要 |
本研究において、初年度である平成23年度は、脂肪由来幹細胞による肝不全、肝硬変の新しい治療法の確立のための基礎的検討を行った。(研究内容)脂肪由来間葉系幹細胞(adipose derived mesenchymal stem cell:MSC)の肝硬変ラットにおける治療効果とその機序における検討では週2回の四塩化炭(0.05ml / 100g BW )投与にて肝硬変モデルを16匹作成した。ヒト脂肪由来のMSCを蛍光色素PKH26で標識し、尾静脈より1x106投与した群(n=8) と生食のみ投与した群(n=8)をそれぞれ3日目に4匹ずつ、7日目に4匹ずつ犠牲死させ、肝臓組織への投与細胞の生着と肝星細胞の活性化(α-SMA 蛋白をWestern blot analysisで検出)を検討した。結果:ADSC投与、生食投与のいずれにおいても副作用等より死亡したラットはいなかった。生食投与ラットにおいてADSC標識の細胞は凍結切片には認めなかったが、ADSC投与ラットにおいては標識された細胞を3日目、7日目の肝臓組織に認め、それらの細胞は、肝線維化の部分に認められた。αSMAの発現に関しては、ADSC投与群で発現が低下している傾向を認めたが、生食投与群との有意差は認めなかった。さらに組織病理的検討を今後行ってゆく予定である。以上の検討を踏まえ、次年度は肝硬変ラットにおける脂肪由来MSCの細胞動態と肝細胞分化および他細胞への分化について病理組織学的検討を行う。さらに脂肪由来MSC投与のラット数を増やし、検討してゆくことで、脂肪由来幹細胞の肝不全、肝硬変の新しい治療法となりえるのかについての基礎的検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脂肪由来脂肪細胞の増殖は、無血清培地とレシピエント血清との併用により必要とされる細胞数1億個まで、約3-4週間で達成することができた。脂肪由来細胞の肝硬変ラットへの局在および肝不全ラットへの細胞投与の効果をみることができ、本研究をすすめることにより、有効な治療法の確立が可能であると判断されたため、本年の研究の目的はおおむね達成されたと思われた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、脂肪由来幹細胞の基礎からヒト臨床の研究を行う。研究1.ヒト脂肪由来間葉系幹細胞を、1.ヒト無血清培地にて調整したもの、2.患者自身の血清をもちいた培地で調整したもの、3.患者血清とbFGFを添加した培地で調整したもので、肝細胞への分化および内皮細胞や線維芽細胞への分化を細胞マーカにて検討する。研究2.F344/NJcl-rnu/rnuラットに四塩化炭素を4週間投与し、肝硬変から肝不全となるモデルを作成する。研究1での培養にてえらえた調整細胞を尾静脈より投与し、肝機能改善 (ビリルビン値、アルブミン値、アンモニア値)について解析する。これにより最も効果的に肝機能改善をきたす細胞調整法を検討する。細胞をPHK26にてラベルし、障害肝への集積および分化細胞の解析を行う。研究3.肝硬変患者の皮下脂肪を採取し、脂肪由来間葉系幹細胞を抽出、培養しになったところで患者の末梢静脈から投与する。細胞投与後、1日目、1ヶ月後、3ヶ月後の肝機能の評価を行う、
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次年度の研究費の使用計画 |
肝硬変モデルを作成するために、ヌードマウス(12000円/匹x30=36万)とヌードラットの購入(11000/匹x20=22万)を行う。動物施設管理費約10万円/年)また幹細胞抽出と培養に必要な試薬の購入を行い実験を行う。
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