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2011 年度 実施状況報告書

腹部急性疾患に対する時間分解分光システムを用いた新たな測定法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23659848
研究機関鹿児島大学

研究代表者

垣花 泰之  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20264426)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード時間分解分光法 / 近赤外線分光法 / 肝酸素化状態 / 腸管虚血
研究概要

本研究の目的は、近年開発された時間分解分光システム(TRS)を腹部臓器の酸素化状態測定法に応用し、腸管虚血を正確に検出できるのかを検討することである。本年度(平成23年度)は、ミニブタを用い、TRSの送・受光プローブを腹部の位置に直接装着した場合と、体表から測定した場合を比較し、TRSで腹部臓器の酸素化状態を無侵襲的かつ連続的に測定できるのかを検討した。まず、ミニブタにケタラールを筋注後、気管内挿管を行い、人工呼吸器を用いて呼吸管理を行った。麻酔の維持はセボフルランを用い、筋弛緩薬は適宜使用した。耳にパルスオキシメータ(SpO2)と、etCO2のモニタリングを行った。TRSの送・受光プローブを肝表面に直接装着し、(a)低酸素症(吸入酸素濃度を低下)、(b)肝うっ血(肝静脈カテーテルによる閉塞)、を行い、その際の、肝組織の酸素化状態等を検出した。次に、TRSの送・受光プローブを体表(肝臓の直上と思われる位置)に装着し、同様な実験を行った。また、oxy-Hb、deoxy-Hb、吸収係数、散乱係数の変化から、危機的な状況を検出し病態を判別することが可能なのかも検証した。今回のTRSの送・受光プローブを肝表面に直接装着した実験では、吸入酸素濃度の低下に伴い肝酸素化状態の悪化が認められた。また、肝静脈カテーテルのバルーンを膨らまし肝うっ血を起こす実験においては、総Hbの上昇とdeoxy-Hbの上昇が認められた。送・受光プローブを肝表面に直接装着した実験では、シグナルは小さくなったがほぼ同様な結果を得ることができた。以上のことより、体表からでも肝組織の情報を検出できることが確かめられたので、次年度(24年度)は、新たに作成したTRSと超音波検査法の一体化したプローブを用いて、上記のクリティカルな病態下での腹部臓器の酸素飽和度と解剖学的構造を測定できるのかを評価する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度(平成23年度)は4つの実験モデルを作成し実験する予定であったが、ミニブタのモデル作成に時間がかかったため、(a) 低酸素症(吸入酸素濃度を低下させる)、と、(c) 肝うっ血(肝静脈カテーテルによる閉塞(バルーン使用)、高PEEP。エコーで確認)の実験にとどまった。そのため、次年度(平成24年度)には、(b) 肝血流量低下(肝動脈・門脈血流遮断。超音波血流計で流量を確認)と(d) 出血性ショック(脱血を行い肝Hb濃度と酸素飽和度の関係を評価。採血で確認)の実験を追加して行っていきたいと考えている。

今後の研究の推進方策

体表に送・受光プロ―ブを装着し、幾つかのクリティカルな病態を再現する。(a) 低酸素症(吸入酸素濃度を低下させる)、(b) 肝血流量低下(肝動脈、門脈血流遮断。超音波血流計で流量を確認)、(c) 肝うっ血(肝静脈カテーテルによる閉塞(バルーン使用)、高PEEP。エコーで確認)、(d) 出血性ショック(脱血を行い肝Hb濃度と酸素飽和度の関係を評価。採血で確認)。上記のクリティカルな病態に対して、TRSで腹部臓器の酸素化状態が正確に測定できるのか、また、oxy-Hb、deoxy-Hb、吸収係数、散乱係数の変化から、上記の個々の病態を判別することが可能なのかを検証する。さらに、作成したTRSと超音波検査法の一体化したプローブを用いて、上記のクリティカルな病態下での腹部臓器の酸素飽和度と解剖学的構造を測定できるのかを評価する。つまり、上記のクリティカルな病態を継続し、極端に悪化させた場合、散乱係数がどのように変化するのか検討する。

次年度の研究費の使用計画

ミニブタ(250×4)薬品、解剖器具肝静脈カテーテル(50×5)

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公開日: 2013-07-10  

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