研究課題/領域番号 |
23659851
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
平出 敦 近畿大学, 医学部, 教授 (20199037)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | コンピテンシー / 救急医 / ワークショップ / 人材開発 / ibstpi |
研究概要 |
本研究では、救急医に求められるコンピテンシーを海外モデルやわが国での調査に基づき構築して提示することを目的としている。医師の人材開発においては、日本救急医学会の指導的メンバー(N=134)を対象に、救急医の人材養成に関して探索的なアンケートを実施し救急を担う人材開発の必要性を確認することができた。例えば現在の我が国の救急を担う人材に関しては不足していると回答した救急医が84%、疲弊していると回答した者は74%に達した。コンピテンシーの内容に関する検討についてはイギリスモデルを研究計画の基盤とした。英国ではコンピテンシーの涵養に関しては、教育学の背景をもつワークショップディレクターが活躍しており、我が国とは異なるワークショップを展開している。招聘してワークショップを我が国で行うという計画に基づきロンドン大学クイーンメアリー校の医歯学部上級講師のDane Goodsmanを招聘して実施した。また協力者として京都大学教育学研究科の渡邊洋子准教授(専門:成人教育)を予定通り招聘でき、本人だけでなく京都大学IPE(Interprofessional education)研究会の協力をえて教育学の専門家とともに教材開発を行った。救急におけるトレーニング場面をDVDで提示してワークショップの議論を行った。その結果、コンピテンシーの"見える化"にイギリスで行われているteaching observationの手法が有用であること、さらにそのプロセスではnarrativeな概念が基盤となることを明示できた。また、ibstpi(the International Board of Standards for Training, Performance and Instruction)を取り入れたいわゆる指導者のコンピテンシーに関して、ICLS指導者ガイドブックをまとめて11月に発刊できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
救急医に求められるコンピテンシーに関して、いわゆるインストラクターコンピテンシーを国際的にとりまとめたibstpi(the International Board of Standards for Training, Performance and Instruction)を参考に、成果を救急蘇生領域のテキストの発刊として提示できた点で、初年度としては当初の計画以上に進展していると判断した。また、研究計画で企画した英国からの指導者招聘の効果は、予想以上で、一種のカルチャーショックをもたらした。
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今後の研究の推進方策 |
英国からのエデュケーターの招聘は予想以上のインパクトがあったが、その内容を深めて救急医に求められるコンピテンシーの形で成果物とする。また、予想以上の早さで、ibstpiの概念を取り入れた指導者ガイドブックを救急蘇生領域に関して作成できたが、研究計画で言及したデブリーフィング、振り返りの概念に関して不十分であり、今後、この点も追及していく推進方策である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画通り、英国の医学教育指導者からの情報や概念を取り入れることをさらに進めたい。具体的にはTeaching observationの手法に関するテキストはわが国には、見当たらないので、臨床の現場での手法を中心に成果物として取りまとめる。また、国内の救急医の実態に関する調査についても、再度、幅を広げて実施する。
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