研究課題
本申請者は骨格を全身臓器・組織との関連の中で捉えなおす新機軸として「オステオネットワーク」という概念を提唱し、現在「オステオネットワークの維持・破綻機構」を解析している。脊椎動物は、進化の過程のその時々で生存に必要なオステオネットワークを構築し、様々な環境に適応した骨格を獲得してきたと考えられる。我々は、種々の脊椎動物の骨の形態学的解析により、陸生動物にみられる軟骨内骨化部は脊椎動物が上陸時に獲得した特有な構造で、カルシウム貯蔵庫として機能を担っているという仮説を立案した。本研究では、カエル、ラット、マウスの骨組織を用いた実験により、我々の仮説を検証し、「オステオネットワークの獲得・維持・破綻」という一連の統合研究へと発展させ、骨代謝研究の新たな潮流を創成することを目的とする。本研究では「オステオネットワーク獲得機構」を解明するための一環として、脊椎動物の骨組織が進化の過程でどのようにしてカルシウム貯蔵庫の機能を獲得してきたかを解析した。我々が哺乳類の骨組織で重要なカルシウム貯蔵庫と考えている軟骨内骨化部の動態をカルシウム欠乏ラットを用いて解析する。魚類、カエルでは爬虫類、哺乳類にみられる軟骨内骨化部がみられないので、水生動物の骨はカルシウム貯蔵庫の機能を獲得していないと推測できる。この点に関して、カエルの後鰓体(カエルのカルシトニン分泌器官)除去実験などの準備を行った。また、軟骨内骨化におけうrHedgehog遺伝子の役割を再検討した。
3: やや遅れている
カエルの飼育場所を検討するのに意外に時間がかかった。そのため、後鰓体(カエルのカルシトニン分泌器官)除去実験や遺伝子改変動物の作成に時間がかかっている。
カエルの飼育場所を十分に検討し、後鰓体除去実験や遺伝子改変動物の作成を推進する。
実験動物、標本作製用器具・試薬、遺伝子解析用試薬、旅費等。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (8件)
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