研究課題/領域番号 |
23659855
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
飯村 忠浩 東京医科歯科大学, 歯と骨のGCOE拠点, GCOE拠点形成特任教員 (20282775)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 骨 / 蛍光 / 発光 / イメージング |
研究概要 |
骨を含む各種臓器の恒常性維持機能は概日リズムによって調節されており、脳の視交叉上核にある中枢時計からの制御を受けている。しかしながら、生後から成長発達過程において、個体や臓器の成長に概日時計がどのように関与するかについては、関連遺伝子の発現振動が小さいため解析が進んでいない。この問題を解決するため、本研究代表者らは、蛍光・発光シグナルによって、時計遺伝子の発現振動をより高感度で観察する方法を確立してきた。その結果、新生児マウスでは、脳と骨とでは独立して時計遺伝子の発現振動を示すこと、さらに骨細胞の周期振動が顕著であることを観察している。本研究では、脳と骨の蛍光・発光ライブイメージングにより、脳時計と骨時計の発達過程を比較しながら、両時計の独立性と統合性のメカニズムについて探索する。平成23年度は、蛍光・発光ライブイメージング方の確立と骨組織in situでの画像解析による定量法の確立に取り掛かった。とくに後者に進捗が見られ、現在論文として投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成長発達過程と成熟期における、脳と骨の慨日リズムの発達過程の違いを組織レベルでより網羅的に明らかにすることで、骨時計の脳時計からの独立性と依存性の変遷を明らかにするため、分子時計遺伝子Per1プロモーターの下流にルシフェラーゼをつないだレポーター遺伝子(Per1:Luc)を導入したマウスを用い発光ライブイメージングを行うシステムを確立中であり。またこの過程において、肝臓もライブイメージングの対象として実際的であり、多臓器間コミュニケーションの解析ツールとして興味深いと思われた。さらに、骨組織in situでの画像解析による定量法の確立に進捗が見られた。
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今後の研究の推進方策 |
成獣マウスにおいて骨組織の概日リズムは、交感神経系を介して、中枢からの制御を受けている。したがって、成長発達過程と成熟期における脳と骨の慨日リズムの違いが、骨代謝を調節する神経伝達物質や、血中骨マーカー、骨組織の機能マーカー発現にどう反映されているのかを調べる。成長発達過程の骨時計では、骨細胞の振動幅が最も顕著であったので、骨細胞マーカーである(SOST, FGF23, Dmp1)の発現変化にはとくに注目し、骨細胞の慨日リズムが成長期に特有なのかどうかを明らかにしていく。また、神経系あるいはホルモン系による臓器間リンクについても解析基盤を構築していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験消耗品費として、実験動物、分子生物学試薬、組織観察用蛍光試薬、抗体、培養用プラスチック器具を計上する。また、学会発表、共同研究打合せとして、国内外旅費を計上する。
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