骨の代謝が概日リズムによって調節されていることは、血中骨マーカーの日内変動や、PCRによる分化マーカーmRNAの発現変動によって報告されている。また、骨を含む末梢組織は視交叉上核にある中枢時計からの制御を受けている。しかしながら、成長発達中の骨組織において、どの細胞が概日リズムを発現し、どのようなリズムで骨の成長発達や機能発達を調節しているのか、また中枢時計からの制御メカニズムについては明らかにされていない。本研究では、機能的イメージングを駆使して骨組織でリアルタイムに概日リズムを可視化する技術を確立し、概日リズムを刻む分子時計による骨の成長発達過程の制御機構を解析する。 本研究の主なる成果は、連携研究者である沼野利佳准教授(豊橋技術大学)らとともに、発光および蛍光イメージングの両方を駆使した、いわばDual Imaging 技術による、生後マウスにおいても各臓器において概日リズムが確立する過程を可視化し、計測することに成功したことである。発光イメージングによって生きたマウスでの臓器レベルでの微弱な発光リズムを検出し、蛍光イメージングによって細胞組織レベルでのリズム形成が確認可能となった。これによって、生後の初期段階で、脳と骨には独立したリズム形成が観察された。また、骨組織において、細胞間での振動強度が違うことも観察された(論文発表 準備中)。今後は、このシステムをさらに応用して、臓器間の連携メカニズムおよび、骨の各種細胞における概日リズム形成の機能的意義について調べることが重要と思われた。
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