研究課題/領域番号 |
23659856
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
工藤 明 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (70178002)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 発生・分化 / 細胞・組織 / 遺伝子 / メダカ / トランスジェニック / 骨形成 / リモデリング / 破骨細胞 |
研究概要 |
哺乳類の頭蓋の成長時には、脳の成長に従って頭蓋の内側に破骨細胞が存在し、骨を削っているものと思われ(Rice et al, Bone 1997)、また外側では造骨が行われており、脳の形成とともに頭蓋骨は大きくなっていく。このときに脳が頭蓋骨の形と大きさの決定に関与しているのか全く明らかになっていない。この頭蓋形成で代表される骨モデリングをより分子的に解明する実験モデルとして、メダカ骨形成のシステムを用いて研究する。内側を削る破骨細胞と外側を造る骨芽細胞が協調しているのか、また外胚葉由来の神経管と中胚葉由来の血管という、独立に分化してきた器官が中胚葉由来の神経棘・血管棘(メダカ椎体の一部)の形と大きさの決定に関与するのかを解明する。以下項目に分けて23年度に実施した内容を報告する。1.破骨細胞のタイムラプスによるライブイメージング破骨細胞特異的トランスジェニックラインを用いて、破骨細胞がどのよう骨を認識するのかをタイムラプスによって検討した。この目的のためには骨芽細胞を蛍光で標識する必要があり、osterixトランスジェニックラインとの掛け合わせで、造骨・破骨のダブルトランスジェニックラインを作成し、同じ個体で骨芽細胞と破骨細胞の挙動が観察できるようになった。2.RANKL高発現トランスジェニックメダカの作成とその解析RANKLをユビキタスに発現するプロモーターを用いたトランスジェニックメダカの作成とその解析を行った。RANKLは哺乳類において必須な破骨分化因子であり、高発現させることにより、高回転型の骨モデリングにおける破骨細胞の機能を解析できる。このトランスジェニックメダカでは、破骨細胞が非常に活性化され、骨粗鬆症とよく似た症状を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨モデリングを的確に観察できる造骨・破骨ダブルトランスジェニックメダカが完成した。このメダカを用いることにより、生きたままの状態で、どのように破骨細胞が骨を吸収し、その骨をどのように形成するのかを解明することが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
1.骨リモデリングにおける破骨細胞と造骨細胞の相互作用:メダカ破骨細胞と造骨細胞のライブイメージングにより、破骨細胞がどのように骨に近づき、骨の上を覆っている造骨細胞を取り除き、骨に直接接着するのかを、検討する。2.ヒレ骨折モデルにおける骨リモデリング機構の解明:我々が開発したヒレ骨骨折モデルを用い、骨折修復における破骨細胞と造骨細胞との関係を解析する。ほ乳類で骨折修復に作用すると言われているcox-2の機能をin-vivoで詳細に解析するために、cox-2 プロモタートランスジェニックメダカを作成し、骨リモデリングにおける作用を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度は本格的に研究を開始するための材料と技術をつくることを中心に実験を行った。そのため、当初予定した研究費より少ない費用ですんだため、本格的に解析を行う、今年度に残った研究費をシフトした。
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