研究課題/領域番号 |
23659865
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田村 正人 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30236757)
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研究分担者 |
川野 光興 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00455338)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 骨芽細胞 / プロテアソーム / ユビキチン / 骨形成 |
研究概要 |
ユビキチン―プロテアソーム系は,不要タンパク質の分解、抗原提示,細胞周期調節など生命活動に必須な重要な役割を果たしている.近年,この系が,骨形成・骨吸収の過程でさまざまな細胞内シグナル伝達分子の制御に関与し,極めて重要な役割を果たすことが示唆されている.本研究では,種々のプロテオソーム阻害剤の骨芽細胞分化に及ぼす効果と,Smad, Runx2, β-cateninなどのシグナル伝達分子のユビキチン化・プロテオソームにおける分解と骨芽細胞分化に関する分子機構を明らかにすることを目的とした.細胞培養系を用いて26Sプロテアソーム阻害剤であるBortezomib, 20Sプロテアソーム阻害剤であるLactacystin, epoxomicinもしくはMG132を添加し培養した.リアルタイム定量RT-PCR法,Western blot法などにより,osteocalcin, ALP, Runx2,などの骨芽細胞分化に関係するmRNA発現やタンパク質産生に及ぼす影響を調べた.C2C12細胞培養系において種々のプロテアソームインヒビターを加え培養したところ,BortezomibはオステオカルシンやALP mRNA発現を誘導した.一方,Bortezomibは筋管細胞への分化を抑制したが,脂肪細胞や軟骨細胞の分化に関与する遺伝子発現には変化が認められなかった.また,Bortezomib によってRunx2のタンパクレベルの増加が認められた.さらに,ユビキチンリガーゼE3の発現を sgRNAを用いてノックダウンさせ,ALP活性染色を行ったところ,ALP活性の増加が観察された.これらの結果から,プロテアソームインヒビターBortezomibは,Runx2のユビキチン―プロテアソーム系による分解を抑制することで骨芽細胞分化を誘導する可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロテアソーム阻害剤の細胞分化に及ぼす効果の検討に関しては,ほぼ研究計画に沿った研究が遂行され,Bortezomibは,Runx2のユビキチン―プロテアソーム系による分解を抑制することで骨芽細胞分化を誘導する機構が明らかにすることができた.研究成果の一部はGenes to Cells誌に掲載が決定され印刷中であり,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
ユビキチンリガーゼE3のノックダウンによる骨芽細胞分化誘導効果の検討及びプロテアソーム阻害剤とユビキチンリガーゼE3の骨芽細胞分化誘導機構の解明について研究を推進する.(1) ユビキチンリガーゼE3のノックダウンによる骨芽細胞分化誘導効果の検討C3H10T1/2, ST-2, C2C12細胞もしくは骨髄間葉系幹細胞培養系で,種々のユビキチンリガーゼE3の発現を sgRNA, miRNAなど低分子RNAを用いてノックダウンさせ,アルカリフォスファターゼ活性染色,von Kossa染色を行う(川野が担当).また,リアルタイム定量RT-PCR法によりosteocalcin 等の骨芽細胞分化に関与するmRNAの発現量を測定する.複数のユビキチンリガーゼE3を標的とした組み合わせ実験も行う.これらより,細胞分化誘導効果を有するsgRNA, miRNAなど低分子RNAを見出す(田村が担当).(2)プロテアソーム阻害剤とユビキチンリガーゼE3の骨芽細胞分化誘導機構の解明平成23年度の研究で,骨芽細胞分化の促進活性を有するプロテアソーム阻害剤とユビキチンリガーゼE3抑制性sgRNA,miRNAなど低分子RNAについて,Smad, Runx2, β-catenin, NF-kBなどのシグナル伝達分子のユビキチン化とプロテオソームにおける分解をWestern blot解析を行いて調べる(田村が担当).これにより,骨芽細胞分化に最も有効な標的となるユビキチン―プロテアソーム系のシグナル伝達分子を同定する.さらに,細胞分化促進活性を有するsgRNA,miRNAなど低分子RNAについて,in vitroの系でWntシグナル応答性プロモーターコンストラクトやBMP-2応答性プロモーターコンストラクトを用いて,どのシグナル伝達系の活性化がもたらされるか詳細に調べる(川野が担当).
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次年度の研究費の使用計画 |
研究で使用する試薬がキャンペーンのため安く購入できたため,未使用額が生じた.平成24年度に予定しているsgRNA合成委託費用の一部に充当し,より多くの研究成果が期待できる.
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