研究課題/領域番号 |
23659865
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田村 正人 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30236757)
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研究分担者 |
川野 光興 新潟薬科大学, 応用生物科学部, 助教 (00455338)
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キーワード | 骨芽細胞 / プロテオソーム / ユビキチン / 骨形成 |
研究概要 |
本研究では,種々のプロテオソーム阻害剤の骨芽細胞分化に及ぼす効果と,Smad, Runx2, β-cateninなどのシグナル伝達分子のユビキチン化・プロテオソームにおける分解と骨芽細胞分化に関する分子機構を明らかにすることを目的とした.今年度は,種々のユビキチンリガーゼE3のノックダウンによる骨芽細胞分化誘導効果の検討及びプロテアソーム阻害剤とユビキチンリガーゼE3の骨芽細胞分化誘導機構の解明について研究を行った.C2C12細胞培養系で, Smuf-1 siRNAもしくはsgRNAをトランスフェクションさせた.細胞抽出物をWestern blot解析を行い行ったところ,Smrf-1のタンパク量は著しく減少していた.リアルタイム定量RT-PCR法を用いてこの細胞の骨芽細胞分化に関与するオステオカルシンmRNA発現量を測定したところ増加していた.また,アルカリフォスファターゼ活性染色を行うとその活性増加が認められた.これらの結果からSmrf-1 siRNAは,骨芽細胞分化誘導効果を有する可能性が考えられた.前年度の本研究で,骨芽細胞分化の促進活性を有するプロテアソーム阻害剤としてBortezomibを見出した.E3抑制性siRNAもしくはsgRNAについて,Smad, Runx2, β-catenin, NF-kBなどのシグナル伝達分子のユビキチン化とプロテオソームにおける分解をWestern blot解析を行いて調べた.BortezomibによってRunx2のユビキチン化が抑制されていた.BortezomibとSmrf-1 siRNAもしくはsgRNAを同時に加えると,この抑制はさらに増強されることが明らかになった. さらに古典的Wntシグナル応答性プロモーターを用いて検討したところ,転写活性の活性化がもたらされた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロテアソーム阻害剤とユビキチンリガーゼE3の骨芽細胞分化誘導機構に関しては,ほぼ研究計画に沿った研究が遂行され,Smrf-1のノックダウンにより骨芽細胞の分化が誘導されること,及びBortezomibとの併用による作用の増強を明らかにすることができた.研究成果の一部は現在論文投稿準備中であり,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
ユビキチンリガーゼE3のノックダウンによる骨芽細胞分化誘導効果の検討及びプロテアソーム阻害剤とユビキチンリガーゼE3の骨芽細胞分化誘導機構の解明について引き続き研究を推進する. (1) ユビキチンリガーゼE3のノックダウンによる骨芽細胞分化誘導効果の検討C3H10T1/2, ST-2, C2C12細胞もしくは骨髄間葉系幹細胞培養系で,ユビキチンリガーゼE3の発現を sgRNA, miRNAなど低分子RNAを用いてノックダウンさせ,アルカリフォスファターゼ活性染色,von Kossa染色を行う(川野が担当).また,リアルタイム定量RT-PCR法によりALP等の骨芽細胞分化に関与するmRNAの発現量を測定する.複数のユビキチンリガーゼE3を標的とした組み合わせ実験も行う(田村が担当). (2)プロテアソーム阻害剤とユビキチンリガーゼE3の骨芽細胞分化誘導機構の解明 平成23-24年度の研究で,骨芽細胞分化の促進活性を有するプロテアソーム阻害剤としてbortezomib,ユビキチンリガーゼE3としてSmrf-1が見出されたが,他のユビキチンリガーゼE3についても検討を行う.骨芽細胞分化に関与するシグナル伝達分子のユビキチン化とプロテオソームにおける分解をWestern blot解析を行いて調べる(田村が担当).骨芽細胞分化に最も有効な標的となるユビキチン―プロテアソーム系のシグナル伝達分子を明らかにする.また,骨芽細胞分化促進活性を有するsgRNA,miRNAなど低分子RNAについて,in vitroの系でWntシグナル応答性プロモーターコンストラクトやBMP-2応答性プロモーターコンストラクトを用いて,どのシグナル伝達系の活性化がもたらされるか詳細に調べる(川野が担当).
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次年度の研究費の使用計画 |
研究で使用する試薬がキャンペーンのため安く購入できたため,未使用額が生じた.平成25年度に予定しているsgRNA合成委託費用の一部に充当し,より多くの研究成果が期待できる.
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