23年度にはRANKLに結合するW9ペプチドよりさらに強力な骨形成促進ペプチドを見出したことから、24年度はその骨形成促進作用がRANKLの逆シグナルの強さで説明できるかということを検討した。このことが明らかとなれば、2つのペプチドの骨形成促進作用がRANKLを介して(少なくとも1部は)行われていることになり、当初の計画であるRANKLの細胞外ドメインに結合する部位による違いを見出す意味合いが増すことになる。つまり、2つのペプチドの骨形成促進作用がRANKLを介して行われていることが明らかとなれば、そのシグナルの違いが、RANKLの細胞外ドメインへの結合部位の差で説明できるかを検討する段階に入ることになる。 東京大学医学部付属病院薬剤部との共同研究によりこの2つのペプチドの骨形成促進ペプチドがRANKLの逆シグナルを促進することが明らかとなり、さらにそのシグナルの強さが骨形成促進作用の強さと一致することが明らかとなった。つまり、RANKL逆シグナルが強ければ、骨形成促進作用が強いことが明らかとなったのである。 また、RANKLとの結合親和性の差でRANKL逆シグナルの入り方が異なるのかどうか検討した結果、W9ペプチドとRANKLとの結合親和性と新規RANKL結合ペプチドとRANKLとの結合親和性はほぼ同じであり、骨形成促進作用の強さあるいはRANKL逆シグナルの強度はペプチドのRANKL結合親和性からでは説明できないことが明らかとなった。これらの知見から、今後は、RANKL結合部位と骨形成促進作用との関連を調べていく研究の方向性が与えられた。 さらに、RANKL結合ペプチドのC端をNH2に修飾しないと骨形成活性が発揮されないことが明らかとなり、C末修飾によりRANKL結合部位がどの程度変化するのか、親和性への影響はどの程度あるかなど、今後検討すべき課題を与えられた。
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