研究課題
ノンレム睡眠中にリズムを有する顎運動を発生させる睡眠異常には、睡眠時ブラキシズムや睡眠関連てんかんなどがある。しかし、睡眠中にリズム性開閉口筋活動(Rhythmic jaw muscle activity: RJMA)を生じさせる中枢神経機構は未解明である。H23年度は、麻酔下の動物で、大脳皮質や錐体路など、複数の部位への電気刺激で、RJMAを発生できることを確認した。そして、睡眠記録ができる実験動物の錐体路に刺激電極を設置し、自由行動下で睡眠中にRJMAを誘発することを試みた。H24年度は、慢性動物での刺激効果をより詳細に検証した。刺激強度を上昇させると、RJMAの誘発率は増加するものの、安静覚醒に比べてノンレム睡眠中の誘発率は有意に低かった。電気刺激からRJMA誘発までの反応潜時はノンレム睡眠では覚醒よりも遅延した。刺激前後の脳波や心拍数を定量解析したところ、刺激直前の脳波の徐波成分が低く速波成分が高い状態で、RJMAの反応性が高かった。RJMA誘発時には、徐波活動と心拍数の一時的な減少を認めた。さらに、大脳皮質咀嚼野から視床、中脳、橋、延髄への投射経路を順行性神経標識法により調べたところ、咀嚼リズム発生時に活動するニューロンが存在する脳幹網様体の複数部位へ直接投射を認めた。また、刺激部位は、大脳皮質からの下行線維束の走行部位に相当した。以上の結果から、大脳皮質からの運動指令が、睡眠中にRJMAを発生に関わる可能性が示唆された。また、RJMAの発生に関わるニューロン群の興奮性は、ノンレム睡眠では覚醒よりも低下している。しかし、睡眠が浅化傾向に伴いその興奮性が増加し、RJMA発現と共に一過性の覚醒が増強する可能性も示唆された。
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