研究課題/領域番号 |
23659872
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
滝川 正春 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20112063)
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研究分担者 |
久保田 聡 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90221936)
服部 高子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00228488)
西田 崇 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30322233)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | LRP-1 / CTGF?CCN2 / トランスサイトーシス / 軟骨 / 輸送 |
研究概要 |
(1) エンドサイトーシスにおけるLRP-1の役割の検討 siRNAを用いヒト軟骨細胞様細胞株HCS-2/8細胞でのlrp-1の発現をノックダウンし、CTGF/CCN2(以下CCN2と略す)のHCS-2/8細胞への結合を検討した結果、lrp-1ノックダウンHCS-2/8細胞では減少がみられた。またHCS-2/8細胞にLRP-1のアンタゴニストであるreceptor-associated protein (RAP)を作用させ、CCN2のHCS-2/8細胞への結合を検討した場合でも、lrp-1ノックダウン時と同様にCCN2総結合量は減少した。(2)軟骨細胞におけるトランスサイトーシスの検証および(3)軟骨細胞でのトランスサイトーシスにおけるLRP-1の機能の解析 トランスウェルを用いてトランスサイトーシスの評価を行ったところ、HCS-2/8細胞に取り込まれたCCN2の一部分は細胞を通過して再び細胞外へ分泌され、この現象はRAPを作用させることにより抑制された。さらに軟骨組織の微細環境を模して、HCS-2/8細胞を低酸素下で培養したところ、LRP-1産生量は増加した。また、低酸素下のHCS-2/8細胞ではトランスサイトーシスされるCCN2量も増加し、この現象はRAPを作用させることにより抑制された。なお、RAPのマウス脛骨軟骨部成長板での分布を免疫染色により確認したところ、CCN2のみられない静止軟骨細胞層に多く分布した。また、ニワトリ胸骨軟骨部の静止軟骨細胞、増殖軟骨細胞、肥大軟骨細胞、それぞれのrap mRNA レベルをreal-time PCRにより確認した場合でも、静止軟骨細胞での発現レベルが高いことが分かった。 これらの結果より、軟骨細胞において、酸素濃度やRAPにより制御を受けながらLRP1はCCN2をトランスサイトーシスする機能を発揮するものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた(1) エンドサイトーシスにおけるLRP-1の役割の検討、(2)軟骨細胞におけるトランスサイトーシスの検証、および(3)軟骨細胞でのトランスサイトーシスにおけるLRP-1の機能の解析の3項目すべてについて、計画どおり研究が進展し、論文としてまとめることが出来た。但し、時間の関係で印刷物として出版するところまでは漕ぎ着けることが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究が計画どおりに順調に進展し、論文としてまとめることが出来たので、まずはこれを印刷物として出版する。平行して、軟骨組織でのみlrp1の欠損した変異(Col2CreLRP1flox/flox)マウスの作成を行い、得られた変異動物の表現型を解析する。具体的は、(1)LRP-1 の軟骨組織発生への関与の検討、(2)軟骨組織切片を用いたLRP-1によるCCN2タンパク質輸送の検討、(3)変異動物の軟骨組織におけるCCN2トランスサイトーシスの検証を行う。ついで、CCN2以外のLRP-1のリガンドであるTGF-beta, PDGF, MMP9, MMP13などが軟骨組織でLRP-1によりトランスサートーシスされるか否かを、LRP-1変異動物と野生型とを比較することによって明らかにする。さらに、できればLRP-1以外の分子を介したトランスサイトーシスによる軟骨組織におけるタンパク質輸送機構の探索を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の成果を国際誌に論文として投稿し受理されたが、印刷物になるのに時間がかかるため、投稿料や別刷り代の支払が平成24年度にずれ込んだ。そこで、その分の経費と平成23年度にまとめた論文の学会発表のための旅費を平成24年度に繰り越した。平成24年度の当初の交付予定額1,300,000円は、予定どおり物品費1,000,000円、旅費100,000円、人件費・謝金100,000円、その他100,000円で使用計画を立てている。
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